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稚児の舞(ちごのまい)とは|子供が舞う意味は?どこで見られる?

稚児の舞

神社で見られる神楽舞には様々な種類があります。

有名なものは神社に奉仕する巫女による「巫女舞」や神職が舞う「宮司舞」などがありますが、子供が舞う「稚児の舞」というものもあるのです。

芸能としての一面もある神楽舞ですが、子供が舞う稚児の舞とはどんなものなのでしょうか

ここでは「稚児の舞」についてご紹介していきます。

子供の舞う意味を知ることで、神楽舞の歴史に触れることができると思いますよ。

 

稚児の舞も習える創作舞踊はこちら

稚児の舞について

稚児の舞とは

稚児の舞とは「幼子の舞う舞踊」のことを言います。

稚児とは乳児・幼児のことです。これは「乳飲み子(ちのみご)」という言葉が縮んだものと考えられています。後に6歳くらいまでの幼児に拡大されますが、それより上の少年・少女は「童(わらべ)」と呼ばれます。

寺院においては、平安時代から剃髪しない少年修行僧(12〜18歳くらい)が現れ始め、これも稚児と呼ばれるようになりました。

現在、稚児の舞を舞うのは、神社によって違いはありますが、小学生くらいの児童が一般的になっているようです。

古くから清純無垢な稚児は神に最も近い性格を持つとされ、祭の場における神様の憑座(よりまし)として重要な役目を務めてきたのです。

装束は?

稚児の装束は「平安装束」で少年は「神官装束」、少女は「巫女装束」となり、地域によってこちらを簡素化した「稚児装束」と呼ばれる衣装で舞います。

袴を履き、少年は烏帽子、少女は天冠をかぶった衣装になります。

 
 
 
 
 
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舞具は?

舞具とは、舞を舞う時に手に持つ道具です。稚児の舞では一般的な舞具の扇や鈴などの他に、蓮、桜、紅葉などの造花を使う神社も多く見られます。

 
 
 
 
 
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使用する楽器は?

舞の種類により使用される楽器は違いますが、一般的に雅楽で使用される三管(龍笛、篳篥、笙)と呼ばれる管楽器と三鼓(鞨鼓、太鼓、鉦鼓)と呼ばれる打楽器が使用されます。

 
 
 
 
 
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以上が稚児の舞の基本情報です。

ここからは稚児の舞の見られる神社をご紹介していきます。

 

稚児の舞も習える創作舞踊はこちら

稚児の舞はどこで見られる?

河口浅間神社(山梨県)

こちらの神社は貞観6年(864年)に始まった富士山の噴火鎮祭のために、貞観7年(865年)に浅間神を奉斎したのが始まりです。

4月25日の例大祭と7月28日の太々神楽祭に拝殿で奉納されています。舞は巫女舞による太々神楽が原型となっています。

舞を舞う稚児は「おいちいさん」と呼ばれ、7歳から12歳の少女が10人ほど選ばれます。

古くは神職か御師の子で両親健在のものに限られていました。現在は両親健在の条件は変わらずありますが、広く氏子の子女から選ばれます。

かつては稚児に選ばれると厳しい禁忌が課せられ、今でも生ものを口にすることを禁じられ、毎朝火打ち石による切り火で身を清める仕来りに従うことが義務付けられています。

5種類の舞があり、全ての舞で右手に鈴をもちますが、左手には舞によって

  • 「御幣の舞」では御幣
  • 「扇の舞」では扇
  • 「剣の舞」では剣
  • 「八方の舞」では御幣
  • 「宮めぐりの舞」では扇

を持って舞います。

楽器は大太鼓、鞨鼓と笛(3人)でこちらは成年男子が務めます。

加茂神社(富山県)

こちらの神社は治暦2年(1066年)に京都の賀茂御祖神社(下鴨神社)の御神領、倉垣庄の総社として鎮祭されました。稚児舞も下鴨神社より伝えられたとされています。

射水市下村加茂神社、富山市熊野神社、黒部市法福寺の3ヶ所は「越中の稚児舞」として国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

こちらの稚児の舞は9月4日の秋の例大祭で行われ、「カットンド」とも呼ばれています。

地内から選ばれた11歳から12歳の稚児4人で舞います。

舞に先立ち、大人の肩車で村めぐりをするのですが、これは終わるまで土を踏んではいけないという決まりがある為です。

舞は9曲行われ、

  • 鉾の舞
  • 林歌(りんか)
  • 小奈曽利(こなそり)
  • 賀古(がこ)の舞
  • 天(あま)の舞
  • 胡蝶(こちょう)の舞
  • 大奈曽利(おおなそり)
  • 蛭子(えびす)の舞
  • 陪臚

となっています。

熊野神社(山形県)

「東北の伊勢」と言われる神社です。「伊弉冉尊(イザナミノミコト)」・「伊弉諾尊(イザナギノミコト)」が御祭神で日本で初めての夫婦の神様で、縁結びの神となっています。

戦国武将の上杉景勝、伊達政宗も信仰しており、伊達政宗の安堵状も残されています。

こちらでは7月の例祭で稚児4人による稚児の舞が行われ、「チゴタゴ」と呼ばれています。

7部構成となり、

  • 振鉾式(えんぶしき)
  • 拝舞(おがみまい)
  • 三代舞(さんだいぶ)
  • 眺望楽(ちょうぼうらく)
  • 太平楽(たいへいらく)
  • 蛇取舞(へびとりまい)
  • 山姥(やまうば)

のうち、振鉾式、山姥以外を稚児が舞います。

天津神社(新潟県)

300年以上続く、4月10日、11日の「天津神社春大祭(別名糸魚川けんか祭り)」で稚児の舞が見られます。12曲行われ、うち8曲で稚児の舞が舞われます。

  • 振鉾 

12の舞楽のはじめに奉納され、緑と橙の衣装で天冠にかぶり鉾を持って舞います。

  • 安摩(あま) 

南方伝来の林巴楽とされ、面や帽子、装束も異国風になっており、4歳から6歳の稚児が舞います。

  • 鶏冠(けいかん) 

鶏冠をかぶり、胡蝶を背負い、菊の花を持って舞います。花に舞う蝶のように平和で美しい舞です。

  • 破魔弓 

頭には巻縷(けいえい)に老懸をかけた冠、手には弓をもち、太刀を肩から斜めにかけ、悪魔退治をする様子を表した舞です。

  • 児納蘇利(こなそり) 

2匹の龍が戯れる様子を表した舞です。丸型の面帽子も面白く、装束も振袖姿となり、とても優美な舞になっています。

  • 華籠(けこ) 

天津神社独特の舞です。美しい装束で籠に盛った花を撒きながら舞います。

  • 太平楽(たいへいらく) 

優美で華麗な武人の装束で舞います。「乱世を治め、正しい道に直す」という意味を表すめでたい舞です。鉾と太刀を振って豪壮雄大に舞います。

  • 久宝楽(きゅうほうらく) 

太平楽と同じ衣装で、太刀と楯を持って舞います。南方伝来の林巴楽の舞のひとつ。平和で穏やかな世であるよう祈る舞です。

【まとめ】稚児の舞について

ではまとめていきます。

稚児の舞とは?

  • 稚児が舞う舞楽
  • 稚児とは乳児、幼児のこと。平安時代から少年修行僧(12歳から18歳くらい)も稚児と呼ばれていた。
  • 清純無垢な稚児は神に近い性格を持つとされ、憑座として重要な役を務めていた。
  • 現在の稚児の舞では小学生くらいの少年、少女が舞うことが多い。

装束は?

  • 平安装束と呼ばれる神官装束、巫女装束。
  • 平安装束を簡素化した稚児装束。
  • 袴に少年は烏帽子、少女は天冠をかぶる。

舞具は?

  • 扇、鈴、剣などが使われる。
  • 蓮、桜、紅葉などの造花を使用する場合もある。

使用する楽器は?

  • 雅楽で使用する三管(龍笛、篳篥、笙)と三鼓(鞨鼓、太鼓、鉦鼓)が使われる。

地域の芸能として子供の舞う稚児の舞は清純さや愛らしさを感じることができ、人気もあるようですが、神事としての稚児の舞にはその理由があるのです。

ご紹介した神社以外でも稚児の舞を奉納している神社は全国に多数ありますので、ぜひ調べて見てください。そして子供の舞いを楽しみながらも、神様への祈りを込めた稚児の舞を堪能してみてはいかがでしょうか。

 

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