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豊栄の舞とは!意味や歌詞、装束は?映像つきで簡単に解説!

 豊栄の舞 歌詞 意味 譜面 音源 CD

神社や結婚式などの儀式で、巫女さんが舞っているシーンを見たことがあると思います。

舞にもいろんな種類があるのですが、

  • あれは何の舞だろう
  • どういった意味が込められ、何のために行われているのだろう

ということまで分かって楽しめている方は少ないのではないかと思います。

今日は、様々な舞の中でも、比較的目にする機会の多い「豊栄の舞」について詳しく説明していきたいと思います

他の舞との違いや、背景を知った上で鑑賞することで、ワンランク上の楽しみ方ができるようになると思います。

 

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豊栄の舞とは?

始まりの起原

豊栄の舞をはじめとする巫女が踊る舞である”巫女舞”のルーツは、「古事記」「日本書紀」に出てくる岩戸隠れの神話の天鈿女命(あめのうずめ)という芸能の女神で日本最古の踊り子と言われています。

しかし、豊栄の舞が形式的に確立されていったのは、1950年以降と比較的近代になってからのことなのです

まずは、天鈿女命がどういった人物か知っていただくために、”岩戸隠れの神話”のあらすじをご紹介していきます。

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岩戸隠れの神話

≪あらすじ≫

太陽の神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の度重なる乱暴に怒り、天の岩屋戸(あまのいわやど)という扉のある岩室に隠れてしまいました。太陽がなくなった世界は真っ暗で昼がありません。なんとか天照大神に出てきてもらおうと、八百万の神々は様々な手を尽くします。そんな中、天鈿女命が激しく舞を舞い、それを見た周りの神々が大笑いに笑いなり、岩戸の周りは大変賑やかになりました。その騒ぎに何事か、とついに天照大神が顔を出したため、また世界に昼が訪れるようになりました。

 

以上があらすじですが、この話が、女性が神に捧げる舞の原型になったと言われています。

余談ですが、このときの天鈿女命の舞は、胸も陰部も露わにし、非常にセクシュアルなものだったといいます。一種のトランス状態や神がかり的な巫女の原型も、この神話の中に見ることができます。

1950年に神社本庁が制定

神に捧げる儀式として、神話の時代からの古いルーツがあります。しかし、「〇〇の舞」と形式だって形が作られ、整備されてきたのは近年になってからなのです。明治時代以降、祭祀に合わせて洗練された舞が創作されるようになり、それが現代の主流になっています。

豊栄の舞は、1950年に設立間もなかった神社本庁により制定され作曲・作舞された祭祀舞のひとつです。

祭祀舞とは全国の神社で奏楽される歌舞です。

神社本庁とは簡単にいうと、全国の神社を取りまとめるトップです。制定以降は、神社本庁主催による講習等を経て全国の神社に広められたため、祭祀舞の中でも代表的な歌舞となっています。

全国への普及を目的に誰にでも簡単に、分かりやすく舞う事のできる舞として作られた。ここがこの舞の大きな特徴の1つと言えます。

こちらの動画も、神社の祭事か何かで子供たちが練習する為なのでしょうか。練習用の動画が撮られています。ゆっくりとして、動作も少なく、難しい動きも少ないように思います。これなら小さな子供さんでも、習得できそうに思いますね。

この豊栄の舞。実は別名「乙女の舞」とも呼ばれています。その理由を掘り下げいきましょう。

 

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豊栄の舞、別名「乙女の舞」

豊栄の舞は、女性が舞うことを前提に作られたため、別名「乙女の舞」と呼ばれています

一方、時を同じくして1950年に祭祀祭に制定されたもうひとつの舞が「朝日舞」です。舞姫がいない神社で男性神職が舞うことを想定して作られており、「宮司舞」とも呼ばれています。

  • 「豊栄舞(乙女舞)」と「朝日舞(宮司舞)」

男女それぞれ専用の舞があるというのも面白いですね。

また、近代つくられた中でも「豊栄の舞」の他に「浦安の舞」、「紅わらべ」以外の曲は、少女が舞う事を前提としていない場合が多いのです。そういったことも「乙女の舞」としてのイメージを高めていると言えそうです。

  • 女性の舞である「豊栄舞(乙女舞)」、男性の舞である「朝日舞(宮司舞)」
  • 舞い手が男女それぞれのバージョンで分かりやすく全国に認知されること、小さな子供でも舞う事が出来ること

この2つの側面から「乙女の舞」の別名が活躍していると言えそうです。分かりやすくカテゴライズされることで、私たちにもすんなりと舞のイメージが伝わりやすくなっていると思います。

次は、作詞・作曲の背景についてまとめていきます。

「豊栄の舞」の作詞・作曲は?

曲は、もともとあった2曲の曲を合わせて編曲されて作られています。結婚式でよく流れている雅楽(日本の古典音楽)の「越天楽(えてんらく)」が主題で、東儀和太郎作曲の「風車」が1番と2番の間の間奏に使用されています。

歌詞は、国文学者で國學院大學名誉教授であった臼田甚五郎(1915年―2006年)の作詞です。楽曲は神社本庁の神社賛歌に指定されています。

近代に新しく作られたものと言っても、曲は古典音楽をアレンジしたものであり、伝統的な曲調がそのまま生かさせているのです。

では、次に歌詞をみていきましょう。

「豊栄の舞」の歌詞は?

1番と2番の歌詞をご紹介し、それぞれの意味についてみていきます。

 

  • 1番

あけの雲わけ うらうらと  豊栄昇る 朝日子を

(あけのくもわけ うらうらと とよさかのぼる あさひこを)

 

神のみかげと 拝めば その日その日の 尊しや

(かみのみかげと おろがめば そのひそのひの とおとしや)

 

  • 2番

地にこぼれし 草のみの  芽生えて伸びて 美しく

(つちにこぼれし くさのみの めばえてのびて うるわしく)

 

春秋飾る 花見れば  神の恵みの 尊しや

(はるあきかざる はなみれば かみのめぐみと とおとしや)

 

  • 解説

歌詞の形式ですが、7、5、7、5、7、5、7、5、で1コーラスが構成されます。これは「越天楽」に歌詞をつけた「越天楽今様」(今様とは、現代風のということ)の形式です。

歌詞の意味は次の通り。

1番は、太陽の恵みへの感謝や、素朴な太陽信仰の伝統が組み込まれたものになっています。毎朝昇るあさひ、毎日めぐってくる日々そのものへの感謝が込められます。

2番は、空襲で焼けた工場の廃墟の中に、草が真っ青に萌えでていた光景からイメージし、自然の生命力を読んだものだと言われています。草木の生命力のように、私たちも日々力強く生きていこうという希望や、四季折々のうつくしい木々花々に囲まれる喜びをよんでいます。

神への感謝の気持ち、自然への畏敬が表現されています。様々なものに神々が宿ると考える日本の文化が反映されていますね。日本歌詞の意味を理解すると、舞を見るときの思いもひとしお変わってきます。

次はどのような装束を身に着けるか、みていきましょう。

「豊栄の舞」の装束は?

 
 
 
 
 
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白拍子(しらびょうし=平安時代から始まった歌舞の一種、及びそれを演じる芸人。男装の遊女や子供が今様や朗読を歌いながら舞った)に似た水干(すいかん=男子の平安装束で簡素な服飾。漫画のおじゃる丸が着ているような上の写真のような衣装)に緋袴が正式とされます。このかわいらしい人形が正式な衣装です。

ただ、私たちが実際目にする巫女は、千早(ちはや)であることが多く、映像でもこちらの千早を身に着けているものが圧倒的に多いです。日本において古くから神事の際に用いられた、主に女性が着る衣装です。下の写真の衣装が、千早です。

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  • 正式な衣装は、水干に緋袴
  • 一般的に主流であるのが、千早に緋袴

と言えるでしょう。

次に、どのような祭具を用いるのか見ていきましょう。

「豊栄の舞」の祭具は?

 
 
 
 
 
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天冠(てんかん)と呼ばれる金の額あてを身に着けます。天冠はかんむりが変形したもので、もとは高貴な人が身分を示すために用いられていました。天冠には、かざしの花として季節の花をあしらうこともあります。

私たちの身近なものでいうと、上の写真のように、桃の節句に飾る雛祭りのお雛様が付けているのがこの天冠です。

「豊栄の舞」で使用する楽器は?

使用する楽器は正式には

  • 管楽器が(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)
  • 絃楽器が楽琵琶(がくびわ)、(そう)
  • 打楽器が鞨鼓(かっこ)、楽太鼓(がくたいこ)、鉦鼓(しょうこ)、笏拍子(しゃくびょうし)

全部で9つが用いられます。

 

特に管楽器の音が特徴的ですので、楽器の音もご紹介しています。

17本の竹管で出来ており、和音を奏でる

  • 篳篥

約18㎝の小さな縦笛、主旋律を担当する

  • 龍笛

横笛、冒頭の独奏部分を担当する

  • 楽琵琶

琵琶の中では一番大きく、水平に構えて演奏する、弦は4本

13の太めの弦、竹製の爪に特徴がある琴のような楽器

  • 鞨鼓

樽型の胴の両側に皮を張り、8つの孔に紐を通して締めたもの

  • 楽太鼓

リズムやアクセントよりも、曲中の区切りに使われる

  • 鉦鼓

青銅または黄銅製の皿形のもので、釣り枠につるして凹面を2本の桴(ばち)で打つ

  • 笏拍子

公家装束の装具の”笏”を縦に2つに割ったもの、2枚の板をたたいて音を出す

 

それぞれの出す音の特徴が分かると、耳で聞いた時にも、楽しさが増してきますね。

篳篥、竜笛の動画の最初に、他の楽器も出てきます。

豊栄の舞

打楽器は、手前の右側から鞨鼓、楽太鼓、鉦鼓の並び。中段右側から琵琶、筝の並びです。

「豊栄の舞」で使う採物(とりもの)は?

 
 
 
 
 
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採物(とりもの)とは、神事や神楽において、巫女などが手に取り持つ道具のことです

紅白の布帛を付けた榊(さかき)を用いることが多いですが、四季折々の花などを用いる場合もあります。

写真の巫女の方も、季節の桜を手に携えています。

 

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豊栄の舞はどこで見られるの?

1人での舞で、舞自体の雰囲気をしっかり感じられる動画はこちらです。

【猿田彦神社 公式】

こちらはさくらの季節に行われたもので4人の巫女が登場します。採物もさくらを使用し、季節感も感じることができます。楽器の存在感も感じられ、非常に楽しめます。

 

【富士山本宮浅間大社桜花祭 雅楽演奏会】

・豊栄の舞のCD

神社本庁制定のこともあってか、「豊栄舞」「朝日舞」のDVD、練習用のCDの2枚組のセットが発売されているようです。

舞を習得するための実用的なキットが税別5,000円程度で売られているようなので、興味のある方は手始めに、手に入れられてもよいかもしれません。

以下リンク先をご紹介しておきます。

神社本庁制定祭祀舞「豊栄舞」「朝日舞」

【まとめ】豊栄の舞とは?

最後にもう一度、「豊栄の舞」について確認していきましょう。

起源は?

 ・ルーツはアメノウズメという芸能の女神

 ・舞が確立されたのは1950年と近代

別名・乙女の舞

 ・豊栄舞=乙女の舞、朝日舞=宮司舞 と祭祀舞として男女の踊り手別に制定

作詞・作曲は?

 ・曲は元々あった「越天楽」と「風車」が合わさったもの

 ・作詞は国文学者の臼田甚五郎作

歌詞は?

 ・1番は太陽の恵みへの感謝、2番は自然の生命力をうたっている

装束は?

 ・水干に緋袴が正装

 ・一般的には千早と緋袴

祭具は?

 ・天冠や季節の花をあしらう

使用する楽器は?

 ・笙、篳篥、龍笛、楽琵琶、筝、鞨鼓、鉦鼓、楽太鼓、笏拍子の9つが正式

採物は?

 ・榊や四季折々の花

どこで見られる?

 ・猿田彦神社

 ・富士山本宮浅間大社桜花祭 雅楽演奏会 など 引用:youtube

 

これからは、神社や結婚式で実際に豊栄舞を見る機会があったら、楽器や装束、歌詞の意味にも思いをはせて鑑賞することができますね。私も、この舞について詳しく調べた後では、より一層楽しめるようになりました。

伝統文化は敷居が高いものと思いがちですが、肩肘張ることなく、気軽な気持ちで接してみていただけたらと思います。

 

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