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神楽の獅子舞を大特集!起源は?獅子神楽はどこで見られる?

神楽 獅子舞

日本に伝わる舞の中でも特に特徴的な舞に獅子舞があります。

恐ろしい獅子の頭に、奇妙な動きをした舞が舞われ、子供の頃には少し恐ろしく感じた方もいらっしゃると思います。

ここではそんな獅子舞神楽について掘り下げてご紹介します

子供の頃に頭を噛まれて泣いた思い出がある人もその意味がわかると思います。

 

元巫女による創作舞踊はこちら

獅子舞と獅子神楽について

獅子舞の始まり

獅子舞は日本全国で行われていて、そのバリエーションは多岐にわたり、日本で最も数の多い民族芸能と言われています。

その始まりは1世紀ごろの中国(後漢時代)に始まり、漢書には

象人若今戯魚蝦師子者也(象人は、今の魚蝦・獅子を戯するがごとき者也)

とあり、これが最古の記録とされています。

 

日本には中国の唐王朝時代、日本の奈良時代に伝わったとされています。

16世紀初頭に伊勢国(今の三重県)で正月に飢饉や疫病除けに舞われるように。17世紀には伊勢より江戸に広がり、悪魔祓いや縁起物として定着、祝い事や祭礼で舞われるようになりました。

全国的に広まったのは、江戸初期に伊勢大神楽の伊勢派や熱田派が全国を業脚し、悪魔祓いのために獅子舞を舞ったことがきっかけで、今の型に定着していきました。

なぜ頭をかむの?

獅子舞では舞の他に人々の頭を噛んで歩く姿も見かけますが、これにも意味があります。

獅子舞は悪魔祓いや疫病除けのための舞ですので、頭をかむことにより、その人についた邪気を食べているのです。

これにより人々は悪いことから守られ、ご利益をうけることができると言われています。

また「噛みつく」が「神つく」とも言えることから、語呂合わせで「獅子が噛みつくと神がつく」という縁起担ぎの意味もあるのです。

 
 
 
 
 
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獅子神楽の目的

神楽は、日本の神道の神事で神に奉納するために奏される歌舞です。

現在の獅子舞の多くはこの神楽に分類され、獅子神楽と呼ばれています。

神楽は、次の4つに分類されます。

  • 巫女神楽
  • 出雲流神楽
  • 伊勢流神楽
  • 獅子神楽

この中で獅子神楽は、神が姿を現したものとして権現を奉じ、悪魔祓いや火伏せの祈祷、息災延命を祈る神楽として分類されています。

ご神体は獅子頭

獅子舞で使われる獅子の頭のことを「獅子頭(ししがしら)」と呼び、獅子舞でのご神体となっています。

通常木製ですが和紙による張子のものや、最近では発泡スチロールのものも多いようです。江戸中期までの獅子頭は武家の災い除けの置物でした。

現在でも、使用時以外は神社などに奉納されて大切に保管している場合も多いようです。

太神楽と山伏神楽

獅子神楽も大きく分けると二つに分類され、太神楽(だいかぐら)と山伏神楽(やまぶしかぐら)と呼ばれます。

太神楽とは

伊勢大神楽に代表される獅子神楽で、伊勢神宮に参拝できない人のために代役を務めて奉納し、各地を巡ってお札を配り歩きました。ダイ(太)には、ダイ(代)の意味も含まれているという説もあります。

この際、獅子舞の他に伊勢地方で行われていた「放下芸(ほうげげい)」と呼ばれる曲芸を余興としてとり入れ、この面白さに魅かれた土地の人の間で地元の氏神様の祭でも奉納されるようになり、漫才や狂言とも組み合わせられ、全国に広がって行きました。

 

山伏神楽とは

青森、岩手、秋田、山形で見られる山伏による神楽です。この地方では修験の霊山として名高い山が多くあることが特徴として挙げられます。

現在は民間の人々によって行われていますが、元は山伏のみが集まって霜月(11月)頃から正月にかけて、村々を訪れ、舞っていました。

特に岩手県では県内の神楽の中でこの山伏神楽が最も多く、その中でも花巻市の「岳神楽」や、宮古市の「黒森神楽」が有名です。

獅子神楽はどこで見れる?

代表的な3箇所をご紹介します。

伊勢大神楽 渋谷章社中

江戸時代から、伊勢神宮に参りたくても参れない人々のために、伊勢神宮のお札を配って、家々に竈祓いや家内安全のお祓いを行い、獅子舞が舞われます。起源は壬申の乱(672年)に、大海人皇子が桑名を通過する時に、村人が獅子舞を舞ってお慰めしたことに始まりました。現在の形になったのは、室町時代から江戸時代の間と考えられています。

元旦の滋賀県「綿向神社」にはじまり、三重県、京都府、大阪府、福井県、香川県、兵庫県と一年をかけて各地を回壇します。

1〜3月

  • 滋賀県・三重県

4〜6月

  • 京都府・大阪府

7〜9月

  • 福井県・小豆島

10〜12月

  • 大阪府・兵庫県

また、各地での竈祓いを行う際に合わせて、神社や公民館などで「総舞い」と呼ばれる芸能も披露しています。「八舞八曲」と言われる舞と曲芸の構成になっています。

渋谷章社中とは大神楽を行っている大阪の宗教法人です。平成15年に「宗教法人神道伊勢大神楽教」として認証され現在も活動を続けています。

石原の大神楽獅子舞

埼玉県飯能市では石原の大神楽獅子舞が有名です。

石原の獅子舞は正月の第2日曜日に行われています。1つの獅子頭を2人で操る「2人立ち」の大神楽系獅子舞で獅子は1頭になっています。舞の前に伊勢の御神楽であることを示す口上が唱和されます。

早朝から小名石倉・原市場地区の各戸を廻り、座敷では「ロッポウ」、「マイコメ」という舞を舞います。

ロッポウは

  • 獅子頭を被ったマエ役が大幣を持って祓う動作をする舞。

マイコメは

  • 獅子頭を手で操り、家中を祓って廻り、家人の頭を噛む動作で厄除けとされます。

他にも出発前と最終地点で舞う「ネムリジン」と余興として舞われる「ハルサメ」や「カッポレ」などがあります。

 
 
 
 
 
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石原のささら獅子舞(埼玉県川越市)(@shi_shi_ma_i)がシェアした投稿 – 2019年 4月月14日午後10時55分PDT

 

旭川市郷土芸能神楽獅子舞

北海道西神楽地区で行われている獅子舞です。

富山県入善町の獅子舞が由来とされ、こちらから移住した人々の手で行われるようになりました。明治31年に神楽神社の秋祭りで奉納されたのが始まりで、その後昭和19年まで継承されていました。

戦後、運営していた青年団が解消されたことにより、一時途絶えていましたが、昭和22年に保存会が結成され、現在も活動が続けられています。

8月の神楽神社で行われる「戦没者慰霊祭」での奉納や、9月の大祭で見ることができます。

また10月の小摺戸神明社の秋祭りや、一宿神明社の秋祭りでも見ることができます。

他の獅子舞と異なり、獅子が2人立てで、天狗が大勢出ることが特徴的です。獅子より天狗の舞が中心になっている面白い構成です。

【まとめ】神楽の獅子舞について

獅子舞の始まり

  • 始まりは1世紀ごろの中国、後漢時代。
  • 日本には奈良時代に伝わる
  • 16世紀ごろ伊勢国で飢饉や疫病除けのために舞われるようになった。
  • 江戸時代に入り、全国に広がり、悪魔祓いのための舞いとして現在の形になる。

なぜ頭をかむの?

  • 悪魔祓いや疫病除けのために、その人についた邪気を食べている。
  • 「噛みつく」と「神つく」の語呂合わせの縁起担ぎ。

獅子神楽の目的は

  • 獅子舞は神道の神事の神楽の一つで「獅子神楽」として分類されている。
  • 神楽の中で神が姿を現したものとして権現を奉じ、悪魔祓いや火伏せの祈祷、息災延命を祈る神楽。

ご神体は獅子頭

  • 獅子神楽のご神体は獅子頭(ししがしら)と呼ばれる頭部。

太神楽と山伏神楽

  • 太神楽は伊勢神宮にお参りできない人々に代わり、各地を巡ってお札を配り歩いたもの。
  • 放下芸と呼ばれる曲芸と組み合わせて行われており、芸能の一面も見られた。
  • 山伏神楽は東北地方中心に行われた山伏による獅子舞。
  • 11月(霜月)から正月にかけて、村々を廻って舞を舞っていた。

神楽の中でも少し特殊な獅子舞ですが、その祈りの意味は単純で、また芸能としての一面もあり、その結びつきによって全国に拡がっていったのです。

ご紹介した他にも、皆さんの地元で行われている獅子舞が必ずあると思いますので、調べて見に行ってみてください。

これだけ身近にある獅子舞ですので、きっとその地方の特別な意味も見つけられると思います。

 

元巫女による創作舞踊はこちら