2020/10/19

神楽舞とは|始まりや種類は?変わりつつある現代の神楽舞

神楽舞とは

神社での神事に「神楽(かぐら)」というものがあります。皆さんも巫女が儀式の際に舞を舞っているのをみたことがある人もいらっしゃるでしょう。この日本舞踊の起源とも言われる神楽とは一体どのようなものなのでしょう。

ここでは

  • 神楽の始まりや種類について
  • 現在ではどのような意味を持ち、伝えられているのか

をご紹介します。

神楽の歴史を知ることでまた違った神社の一面も見えてくると思います。

 

元巫女による創作舞はこちら

神楽舞とは

神楽の始まり

神楽の起源は日本最古の書物と言われている「古事記」・「日本書紀」まで遡ります。

ここにある神話の一つで「岩戸隠れの段」というものがあります。これは太陽神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」がその子供である「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の粗暴な行動に心を痛め、天岩戸(あまのいわと)に閉じこもってしまうことから始まります。これにより世界から日の光が失われ、八百万の神々はどうにか天照大御神に出てきてもらおうと考えて、技芸の女神である「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」に依頼します。天鈿女命はこの岩戸の前で舞を舞い、その賑やかな様を気にした天照大御神を岩戸から誘い出し、見事世界に日の光を取り戻したのです。

この天鈿女命が巫女の起源であり、巫女による神がかりの儀式の際に舞を舞うようになります。そして天鈿女の子孫である「猿女君(さるめのきみ)」により、舞が儀式化し、神に奉納される神楽へとつながっていくのです。

変わりつつある神楽舞

1600年以上の歴史を持つ神楽ですが、巫女による神がかりの儀式としての様相から、全国に広まりながら様々な形で伝承されています。その内容は地方によって多種多様で現在もなお、少しずつ変化を加えながら神事や、また伝統芸能として行われています。そして舞に対する意味も少し変化しているようです。それは人々の神に対する考え方や、信仰のあり方も影響を受けていると言えるでしょう。

続いて、ここからは変化していく中で分類される神楽の種類についてご紹介します。

神楽舞の種類

神楽は大きく分けて2種類に分けられます。「御神楽(みかぐら)」「里神楽(さとかぐら)」と呼ばれるものです。

御神楽は、宮中での儀式の際に行われる神楽で、非公開で行われるため、一般的には目にすることができません。

里神楽は、私たちが神社などで目にすることのできる、民間の神楽です。私たちが「神楽」と呼ぶものはこちらの里神楽になります。また里神楽はその内容により、次の4つに分類されています。

巫女神楽

巫女による神楽の起源でもある神がかりの儀式を受け継ぐ神楽です。

神社で行われることがほとんどで、神社の神事の際に舞われます。現在では神がかりの要素はなく、神に奉納するための舞と言えるでしょう。そして現在舞われているものは明治時代以降に創作されたものが多く、見た目の華やかさや、舞の形に拘ったものが使われます。巫女が白衣に千早、緋袴で舞う様はとても華麗で芸能としても見応えのあるものになっています。

獅子舞系神楽

神獣とされる、獅子の頭部「獅子頭(ししがしら)」をご神体として、家々を回り、魔除や、厄払いを行う神楽です。

霊山の多い東北地方では、山伏が里に降り、行ったことから「山伏神楽」と呼ばれ、伊勢神宮のある伊勢地方では伊勢神宮や熱田神宮の神人が神札を配りながら竈祓いや悪魔祓いを行い、こちらを「太神楽」と呼びます。太神楽は余興として曲芸なども披露していたため、芸能・娯楽としての一面も持っていました。

出雲流神楽

出雲国・佐陀神社が源流とされる神楽です。「佐陀神能」と呼ばれる神楽で、能に近い神話劇となっており、「採物神楽(とりものかぐら)」とも言われます。演目によって変わる衣装や、面など、非常に舞台映えする神楽となっており、芸能としての一面が強いのが特徴です。

特に有名なのが島根県浜田市の「石見神楽(いわみかぐら)」でその演目は30以上になります。

天鈿女の物語である「岩戸」や、素戔嗚尊の大蛇退治の「大蛇」などを始め、古事記にある日本神話を題材にするものが多くあります。

伊勢流神楽

伊勢外宮の神楽役が行なったことからこの呼び名となっており、湯立てと神楽が合わさったものになります。

湯立ては釜に湯を沸かし、神々に献じて、その後に自身や人々にふりかけて祓い清める神事です。

「湯立神楽(ゆだてかぐら)」とも呼ばれ、全国に広まっています。通常神社の神事として行われ、巫女や神職が湯立てに合わせて神楽を舞います。

現代の神楽舞の特徴

気軽に見られる身近なものに

神楽はその起源から、神道における儀式で、神聖なものとして捉えられていました。元はシャーマンとしての能力を持った巫女が神がかりの際に使用した舞でした。その後、シャーマニズムとしての巫女から、神に仕える巫女に変化した際に、神への感謝を伝えるための奉納としての神楽となっていったのです。

時代は変わり、明治時代には「巫女禁断令」などもあり、巫女の存在が認められなくなり、その後復活した神楽は芸能としての一面が非常に強くなっていきます。

現在では、神社の神事の他にも、お祭りや、保存会による舞台での発表、また、神社で行われる神前結婚式などでも見ることができます。

地域復興に一役!賛否両論

神社での神事としての神楽はその本来の目的の他にも重要な意味合いが込められている場合もあります。

地方の過疎化に伴い、町おこしとしての利用も行われているのです。地方では観光は大切な資源となり、そのひとつに神楽が注目されたのです。これだけの永い歴史を持ち、伝承されている神楽ですので、その見応えは観光として十分に満足できるものでしょう。

しかし、その神聖さ故に、観光化することに反対する人々もおり、そのあり方には賛否両論あるのも事実です。

皆さんはこの流れをどのように感じることでしょうか?地域復興か、伝統行事の神聖化か。難しい問題と言えるでしょう。

【まとめ】神楽舞とは

神楽の始まり

  • 古事記にある「岩戸隠れの段」という神話が起源となっている。
  • 巫女による神がかりの神事として行われてきた。
  • 儀式化され、神への奉納のひとつとなる。

変わりつつある神楽舞

  • 全国に広がっていく中で地方で様々なものと融合し、変化を加えながら伝承されてきている。
  • 特に芸能文化としての特徴を持つ神楽が発達していく。

現代神楽の特徴

  • 神社での神事としての奉納の他に、お祭りや舞台、神前結婚式などでも見られるようになってきている。
  • 地域の復興にも使われるようになり、観光資源として利用されるようになってきている。

 

神がかり(憑依)の儀式として生まれ、神々への奉納として定着し、文化芸能としての面も見直されている神楽ですが、人々と神々を繋ぐ重要な神事としての神楽に違いはありません。

皆さんも神楽を見る際はそんな歴史を考えながら見てみると、単純な演劇や古い習慣といった概念はなくなると思います。ぜひ、日本の重要な文化として神楽を身近に感じてみてください。

 

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