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青森・津軽にいる「カミサマ」とは?イタコとの比較で解説

津軽 カミサマ 青森

日本のシャーマンとして有名な「巫女」ですが、現在の神社にいる巫女は古代のシャーマン的な能力はなく、職業として神社に勤務するものとなっています。では古代より続く、能力を持った巫女はいなくなってしまったのでしょうか?

青森・津軽には「イタコ」という巫女がいます。恐山のイタコといえば有名ですが、この地方にはイタコの他にもシャーマンとしての能力を持った巫女が他にもあるのです。それが「カミサマ」と呼ばれる巫女です。ここではこの「カミサマ」についてご紹介いたします。

これを読めば、カミサマとはどのような存在なのか。また、イタコとの違いも理解できると思います。

 

元巫女による創作舞はこちら

青森・津軽の「カミサマ」について

「カミサマ」、別名「ゴミソ」とは?

「カミサマ」は青森県の津軽地方で信仰されている、「イタコ」と同じ「憑依巫女」です。別名「ゴミソ」とも言われるこの巫女は、神霊を体に憑依させ、その言葉を人々に伝える能力を持っています。

イタコとの違いは?

では「イタコ」と「カミサマ」の違いはなんでしょうか。

これはイタコが死者の霊を憑依させる死者の口寄せ「ホトケオロシ(仏降ろし)」なのに対して、天啓と言われる、神からのメッセージを伝えるために神を憑依させる「カミオロシ(神降し)」を行う能力を持っているのです。

どんな人がなれるの?

イタコが先天的、または後天的な視覚障害を負った女性が、イタコの師匠について修行を積み、「許し」という免許をもらってなるのに対して、カミサマは独自の霊感や心霊体験を受けてなる、一世代だけの巫女となります。これは自身や家族の病気や悩みにより、祈祷や祈願をしている最中に神がかりとなり、その体験を契機になるというものです。

資格や修行は必要?

自身の神がかりの体験を経て、カミサマの能力を授かったものがなれるカミサマは、資格と呼ばれるものはありません。世襲制ではないので、現在は新しくカミサマになる人はほとんどいないのが現状です。

この津軽地方にはカミサマの修験場がたくさんあり、カミサマは日々、修行を行なっています。

どんなことをするの?

カミサマはイタコと違い、死者の霊ではなく、神の声を伝えることができます。この守護神の力を借りて、信者に取り憑いた憑物を追い払ったり、病気の治療を行います。また、依頼者の悩みに対して助言を行なっているのです。

カミオロシとは?

「カミオロシ」はカミサマが行う儀式のことで、カミオロシ=神降しとなります。つまり、自身の体に神を憑依させ、神からのメッセージを宣託することになります。これに対してイタコは死者の霊を憑依させるため、「ホトケオロシ」=仏降ろしと、区別されています。

青森で「カミサマ」がいるとされる場所

金剛寺

青森県・平川市にある赤倉山にあるお寺です。「津軽七福神の布袋尊」が祀られていることでも有名です。この赤倉には、「根本道場」という修行道場があり、毎年、五穀豊穣を祈るための祭祀では、「熱釜の行」や「火渡りの行」と言われる荒行が行われています。

このお寺とカミサマの関係は深く、カミサマから助言をもらった人々がこの金剛寺で供養やお祓いを勧められることも多いとのことです。

赤倉霊場

津軽平野の中央に「岩木山」という山があります。こちらは津軽冨士とも言われ、地元の人々にとっては信仰の上でも重要な山となっています。ここの南麓には「岩木山神社」があり、津軽藩に保護もされてきた津軽の総鎮守です。一方この山の東方にあるのが赤倉で、この場所はカミサマの聖地とされています。

ここ赤倉は国有林で一般の建物は建てられず、カミサマの霊堂だけが例外的に貸し付けられ、建っているのです。つまり、「カミサマの村」と言えるでしょう。

現在は28の霊堂が建っていますが、全て昭和30〜40年代に建てられたもので、それ以降に新しい霊堂はできていません。

カミサマは一代限りの特殊能力であり、後継ぎに能力がなければ継ぐことができないため、空家になっているところもあります。まさにカミサマの聖地と言えるでしょう。

 
 
 
 
 
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石神神社

石神神社の名前の由来は、ここにある不思議な石となっています。奇石と言ってもいいその異形の石には髑髏を思わせる大きな目があり、とても不気味な形をしています。地元の人々はこの石に神が宿っていると考え、信仰の対象となっているのです。

この石の目は、右目がアマテラス、左目がツクヨミと言われており、右目からは湧水が流れています。この湧水は難病や眼病を治すと言われており、石神信仰の礎となっているのです。

この石神神社の周辺はカミサマの行場でもあり、滝行を行う場や、様々な神が祀られた石が磐座として残されています。

 
 
 
 
 
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【まとめ】青森・津軽のカミサマについて

カミサマ・ゴミソとは

  • 青森県・津軽地方で信仰されている「憑依巫女」である。
  • 神霊を体に憑依させ、その言葉を人々に伝える能力を持っている。

イタコとの違いは

  • イタコが死者の霊を憑依させる「ホトケオロシ」なのに対して、カミサマは神を憑依させる「カミオロシ」を行う。
  • イタコが師匠について修行を積み、「許し」という免許を得てなるのに対して、カミサマは独自の霊感や心霊体験を経験し、能力を得る。
  • イタコは死者の霊を降ろし、近親者の祖霊の言葉を伝えるのに対して、カミサマは神を降ろし、依頼者に取り憑いた憑物を払ったり、病気の治療を行う。また、相談者に対して神からの助言を伝える。

イタコと同じ「憑依巫女」ではありますが、その能力は大きく違いがあり、それぞれの役目があることがわかります。イタコに比べて知名度の低いカミサマですが、この地方では人々の信仰対象となっており、その能力が人々の力となっているのです。