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巫女の口噛み酒とは?処女の女性が作るべき2つの理由

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お酒の種類にはいろいろありますが、特に珍しいものに「口噛み酒」というものがあります。

映画「君の名は。」に登場し、広く知られるようになりましたが、その特徴とは一体どのようなものなのでしょうか。映画では巫女である主人公が行なっていましたが、巫女や神との関係性はあるのでしょうか。

ここでは、そんな口噛み酒について、ご紹介していきます。これを読めば口噛み酒にどのような歴史があり、なぜ映画「君の名は。」に登場することになったのか。そんなことも見えてくると思います。

 

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巫女の口噛み酒について

口噛み酒とはどんなもの?

口噛み酒は文字通り、穀物を口で噛んで造るお酒です。

どういうことかというと、ご飯をゆっくり噛んでいるとだんだん甘くなってくると思います。唾液に含まれる酵素アミラーゼの効果で、でんぷんが糖化される現象です。これを利用し、お酒を造ることを口噛み酒と言います。穀物を噛んででんぷんを糖化させると共に、唾液に含まれる酵素を使って発酵を促進させるのです。

口噛み酒の歴史

日本の神話の中には、神と酒に関わる話が頻繁に登場します。「播磨国風土記」には次のようなお話があります。

荒田と呼ばれる村に住む「道主日女命(みちぬしのひめのみこと)」という女神は、ある日、父親のわからないまま子供を生みます。彼女は酒を用いて占いを行い、神意を問うのです。彼女が7町の田を耕すと7日7晩で稲穂が実ります。これを使い酒を醸した彼女の元に神々が集まったので彼女は酒を捧げ、子供に彼らを見させます。すると子供は天目一命に向かいじっと見つめたので、彼が父親ということがわかったのです。

また、天照大御神は素戔嗚尊の「十拳剣(とつかのつるぎ)」を折り、「天の真名井(まない)」の水と共に噛み、3柱の女神を生み出します。

一方、素戔嗚尊は天照大御神の装飾品を噛み、5柱の男神を造るのです。

ここで生まれた神は、天照大御神が「酒の神」を、素戔嗚尊は酒の原料となる「稲の神」をお造りになるのでした。

神が噛んだものから神が生まれるというお話も多くあり、これが口噛み酒の元となっており、神と口噛み酒には深い関わりがあると言ってよいでしょう。

衛生面や味は?

口噛み酒は穀物を噛んで造ったお酒です。唾液の消化成分と発酵により生じるアルコール成分によって雑菌は死滅するので、単純な衛生面という観点では問題ないと言えるでしょう。

しかし、現代の衛生面では視覚や気分などの要素も関わってきていますので、そう言った要因を踏まえて評価すると、現代では「不衛生」と評価されてしまうでしょう。

味に関しては、意外と美味しいと言われています。味はヨーグルトに近いようです。

しかし、臭いはかなりきついようですので、激臭のする飲み物が美味しいというのは現実的ではないような気がします。

沖縄の口噛み酒

西表島などがある八重山諸島では、大正時代の終わりまで「ミシ」と呼ばれる神酒が造られていました。これはうるち米から造られ、未婚の若い巫女によって造られます。

うるち米を水に浸け砕いたものをふるいにかけたり炊いたりして米粉と米片の混合物を作ります。これを巫女が噛んで鍋に吐き出していきます。

噛み終わったものをさらに石臼で挽き、かめに入れておくと3日ほどで5度程度のお酒になるのです。これは神酒として使われ、さらに日をおくとやや酸っぱくなり、病人に精をつけるために与えられたりもしました。

また、沖縄だけに限らず、アイヌ族の熊祭りや、カンボジア、台湾、中南米やアマゾンでも造られている歴史があります。

「醸す」の語源説

日本語の、「醸造」を表す動詞である「醸す(かもす)」は、口噛み酒の「噛む(かむ)」が語源とする説もあるのです。

近現代の研究

2004年に東京農業大学で、研究室の女子学生に口噛み酒の実験をさせた記録があり、ここでは、3日目の夕方から発泡が始まり、10日目に発酵が終わって、アルコール度数9.8%のお酒ができたそうです。

この時、米を噛んでる時に耳の側が痛くなったという感想から、これが「こめかみ(米噛み)」の語源になっているという推測もされています。

 

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巫女の口噛み酒を女性が作る理由

口内の健康な細菌が豊富

大病を患ったことのない若い女性の口内には健康な細菌集団が存在するとされています。それにより、若く、健康な女性に造らせていたのです。

処女ならばなお良し

また、穢れを知らないという観点から、処女であればなお良しとされていました。神に捧げるお酒ですので、処女の巫女はまさに口噛み酒の醸造にうってつけということでしょう。

映画「君の名は。」三葉を例に検証

映画「君の名は。」では、主人公「三葉」が口噛み酒を造るシーンが登場しますが、前述の要素に当てはめると、

  • 若く、健康的
  • 巫女である
  • 処女(と予想される)

と、まさに口噛み酒を造るにふさわしい人物であると言えるでしょう。

【まとめ】巫女の口噛み酒について

口噛み酒とは?

  • 穀物を口で噛んで造るお酒。
  • 穀物を噛んででんぷんを糖化させると共に、唾液に含まれる酵素を使って発酵を促進させる。
  • 日本神話には神がものを噛んで神を生み出す話が登場することから口噛み酒は神酒とされている。
  • 味はヨーグルトに近いとされているが、臭いがキツい。

口噛み酒を女性が造る理由

  • 大病を患ったことのない若い女性の口内には健康な細菌集団が存在するとされ、それにより、若く、健康な女性に造らせていた。
  • 穢れを知らないという観点から、処女であればなお良しとされていた。
  • 神酒とされていることから巫女が造るようになった。

映画の中にもありましたが、現代においては「酒税法」というものがあり、この口噛み酒は違法となっています。したがって口噛み酒を造ることはできませんので気をつけてください。