巫女が神楽で使用する鈴について解説!意味や効果、種類は?
巫女さんが、神社などで踊っているのを見たことがありますか?そこでよく手に鈴を持っているのですが、この鈴に意味が込められているのをご存じですか?
今日は、この鈴にスポットを当てて
- 鈴に込められた意味
- 鈴の効果
- 鈴の種類
を詳しく見ていきたいと思います。
この記事を読むことで、今後巫女さんが鈴を使っている場面を見たときに、どんな意味があって使っているのかがわかるようになりますよ。
巫女神楽の創作舞はこちら。
巫女が使用する鈴について
まずは、巫女が使用する鈴について
- 鈴の効果
- 別名「三番叟鈴」(さんばんそうすず)
- 縁起が良い「七五三」
- 「鈴なり」の語源
について、順にみていきます。
鈴の効果
鈴には、「邪なるものを祓う力」があると考えられています。それも、鈴そのものではなく、「鈴の音」に力があると考えられています。
澄んだ音で神の御霊を引きつけ、御霊の昂揚を期待し、より大きな御神徳を得ようとするのです。鈴は鳴らして使ってこそ、意味があるのですね。
もう一つは、「心をひきつける」効果があると言われています。魔除けや、神様を呼ぶ効果があると考えられています。
神社のお参りにいくと、必ず鈴を鳴らしますね。
- 邪なるものを祓い
- 心をひきつける
この効果を狙ってのことなのです。
別名「三番叟鈴」(さんばんそうすず)
先ほども述べましたが、元来、鈴には魔除け、神様を呼ぶ効果があると言われ、神社の参拝時に鳴らす鈴にも同じ意味があります。
また、この鈴は能楽や歌舞伎などで『三番叟(さんばそう)』を踊るときにも使用されますので三番叟鈴(さんばそうすず)とも言います。
三番叟とは神事儀礼の舞曲の一つで五穀豊穣、延命長寿、子孫繁栄を祈り、この鈴を持って踊ります。
縁起が良い「七五三」
神事に使う、神楽鈴の鈴は三段の輪状に付けられ、下から七個、五個、三個になっています。そのため、別名七五三鈴とも呼ばれております。
ちなみに、この神楽鈴の「神楽(かぐら)」とは、「神座」(かむくら・かみくら)が転じたとされる言葉で「神の宿るところ」「招魂・鎮魂を行う場所」を意味し、そこでの歌舞が神楽と呼ばれるようになったとされるそうです。代表的な「浦安の舞」は巫女神楽の1つです。神楽鈴は、巫女が歌舞の際に使う鈴と考えましょう。
七五三と言うと子供の成長を祝う『七五三詣』が思い浮かびますが、古来中国の縁起の良い数字「奇数」に起因すると言われています。
また、この七五三の数字に因むものが神社にはもう一つあります。
それは神社の鳥居に付けられている注連縄(しめなわ)で注連縄の藁を、七束、五束、三束と垂らす型があり、しめなわは七五三縄とも書きます。
まとめると
- 七五三は、古来中国の縁起の良い数字「奇数」
- 神楽鈴、しめ縄などはこの七五三に由来する
ということになります。
「鈴なり」の語源
他にも、果実がたくさん実を付けることを形容して『鈴なり』と言いますが、神楽鈴の鈴のつき方と似ているのでこの言葉が生まれました。
鈴なりという言葉は、この神楽鈴が語源となっていたのですね。
以上、これまでをまとめると
- 鈴には、邪なるものを祓い、心をひきつける効果がある
- 神楽鈴は縁起が良い「七五三」で出来ている
- 神楽鈴は「鈴なり」の語源となっている
ということになります。
それでは、これからは実際にどのような鈴を巫女が神楽舞で使うのか、写真等も交えながら見ていきましょう。
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巫女の神楽舞で使用する鈴の種類等
神楽鈴 <十字型>
神楽鈴は、多数の鈴玉を房状につけた短い棒で、柄を握りこむとほぼ鈴と鍔(つば)しか見えません。柄の先には、五色と言われる布がついています。五色布については後ほど詳しく見ていきます。鈴の数は先ほど説明した七五三になっていますね。
神楽鈴 <巻立型>
神楽鈴(巻立型)は、神楽鈴(十字型)とほとんど見た目は一緒です。鈴がついているところが、十字のようになっているか、コイル状になったところについているか、が違います。
鉾鈴 (鉾先舞鈴)
鉾鈴は先が剣の形になっており、鍔部分に8個の鈴が付けられています。
鉾鈴は三種の神器を表しているとされていますが、部位によって模している神器は異なります。
- 剣の部分:草薙の剣
- 鍔の部分:八咫鏡
- 鈴の部分:八尺瓊勾玉
このように、三種の神器を鉾鈴は表しているのです。
手振鈴
これは、柄付きの手鈴(てすず/しゅれい)で、1つだけ鈴がついているものです。ハンドベルをイメージしていただくとよいと思います。
五色絹
- 木の色は青
- 火の色は赤
- 土の色は黄
- 金の色は白
- 水の色は黒
となります。
五色絹の色は、このエレメントを表しているのです。
神楽鈴一本簪
これは、神楽鈴がついた、髪に刺す簪(かんざし)です。
この簪に限らず、儀式の際には
- 花簪(はなかんざし)
- 挿頭(かざし)
- 折枝(せっし/おりえだ)
に代表される、髪留めや冠などの頭飾りを飾ります。簪やその元祖とされる挿頭は、髪留めと髪飾りの両方の要素を持っています。古来より花や小枝を頭に指して木々の霊力を取り込もうとした事の名残と言われています。現在は、造花や金属などで作られる事が多いです。
鈴立て台
鈴を置くための台になります。
【まとめ】巫女が使う鈴について
これまでの内容を振り返ります。
まずは、巫女が使う鈴の効果や、意味についてです。
- 鈴には、邪なるものを祓い、心をひきつける効果がある
- 神楽鈴は縁起が良い「七五三」で出来ている
- 神楽鈴は「鈴なり」の語源となっている
次に、実際に使われている鈴の種類や、関連の道具についてです。
- 神楽鈴<十字型>
- 神楽鈴<巻立型>
- 鉾鈴(鉾先舞鈴)
- 手振鈴
- 五色絹
- 神楽鈴一本簪
- 鈴立て台
様々な種類がありましたね。
普段、「鈴」に注目することはなかなかないと思います。でも、この記事を読んだことで、神社や結婚式で巫女舞を見た時など、この鈴の意味を味わうことができるようになったと思います。ぜひ、注目してみて下さい。
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