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巫女とは?その意味、能力、役割は?基本と歴史背景を大特集

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巫女さんといえば神社で見かける白衣に緋袴の女性といったイメージですが、その由来や歴史について知っている方は少ないのではないでしょうか。

ここではそんな巫女の起源から現代に至るまでの歴史についてご紹介いたします。

これを読めば、巫女の誕生や、何故巫女が神社にいるのか理解できると思います。人と神とのつながりでもある、巫女について勉強していきましょう。

 

元巫女による創作舞はこちら

巫女について

巫女の意味・由来

巫女は「日本の神に仕える女性」のことで神子(みこ)・御神子(みかんこ)などと呼ばれることもあります。

元々の起源は古事記や日本書紀に登場する神話の物語からきているのです。日本の信仰の始まりはこの神話の世界が元になっていることはご存知でしょうか?

日本には元々、「八百万の神」という自然信仰がありました。自然界や自然現象などに神が存在し崇拝、また神格化する信仰体系のことです。日本神話はこの自然信仰からできています。古事記・日本書紀ではこの考え方で構成されていますが、その中に太陽神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の登場する「岩戸隠れの段」という物語があります。

この物語は天照大御神の弟神である「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の暴虐武人な行いに心を痛めた天照大御神が天の岩戸にお隠れになってしまい、世界から太陽の光が消え、闇に包まれてしまいます。ここから解決策を話し合った八百万の神々は技芸の女神である「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」に託します。天鈿女命はここで岩戸の前で半裸となり、舞を舞い、宴を行うのです。天照大御神は「暗黒に包まれた世界になったはずなのに何故こんなに賑やかなのだろう」と気を惹かれ、岩戸から出てくることになります。

これが神に捧げる舞「神楽舞」の始まりとなり、ここに登場する天鈿女命が巫女の起源とされているのです。

そして現在の巫女に至るまでには様々な時代の影響を受け変化してきました。ここから巫女の歴史を時代ごとに分けてご紹介していきます。

古代巫女の役割

巫女の時代の移り変わりの変化として、大きく「古代巫女」「現代巫女」の二つに分けられます。これは日本の明治時代が大きなターンポイントとなっているのです。

古代巫女はその役割として祈祷や憑依による神のお告げを伝える役目や、儀式においての神楽舞の舞人を担っていました。古くは邪馬台国の「卑弥呼」のように、国を治める地位であったこともあり、人々の生活になくてはならない能力であったのです。

その後、文化が発展し、争いが生まれ、男権社会になっていくと共に、巫女の社会的立場も低くなりました。

この頃から巫女は

  • その憑依能力を生業にした「口寄せ系巫女」
  • 朝廷の儀式「巫(かんなぎ)」を行う「巫系巫女」

の2つに分かれていくのです。

現代巫女の役割

巫女が現在の神社での職業としての巫女という形になっていったのは明治時代以降となります。

明治維新の際、文明開化の最中、明治政府は「憑依という超常現象を行う巫女」という存在を否定し、「巫女禁断令」を発します。これにより、旧来の巫女という存在は表舞台から姿を消してしまうのです。現在に残る「イタコ」や「ノロ」はこの頃の巫女の能力を今に伝える希少な存在です。

その後、多くの神社から、巫女を復活させる動きが始まりますが、これは巫女の能力者としての必要性ではなく、芸能文化として巫女の行う儀式や神楽舞などを残していきたいという考えからのものです。

これにより、現在の巫女は、神社で神事の補佐や巫女舞を行う「神社巫女」として定着していくのです。

巫女の種類

ここまでは時代の変化に伴う2つの巫女の種類についてご紹介しましたが、他にはどのような分類があるのでしょうか。

さらに細かく分けていくと、5つの種類に分けられます。

  • 朝廷の巫(かんなぎ)

古代巫女の中で、朝廷に仕え、祈祷や神霊の憑依により神託を受け、人々に伝える役目を持っていた巫女です。祈祷には儀式的な要素が強く、現在でも「新嘗祭」など宮中で行われている儀式もあります。

 

  • 口寄せ系巫女

口寄せとは「死人の口となる」ことで、憑依により祖霊の言葉や神託、呪術などを行なっていました。朝廷の巫とは違い、権力とは距離をおき生業として能力を使っていた巫女です。

 

  • 渡り巫女

神社には所属せず、全国各地を周り、祈祷や勧進を行なっていた巫女です。遊女の一面も持ち、舞や芸を披露して金銭を得ていました。

平安時代以降では、巫女の霊的能力の重要性が失われ、形としての巫女が登場していったのです。

 

  • 本職巫女

現代に存在する、仕事として神社に勤務する巫女です。神社の雑務や神職の補助、巫女舞の披露などが主な仕事になります。

資格は必要とせず、誰でもなることができますが、実際の求人は少なく、神職の娘や、近親者など、神社にゆかりのある人がなることが多いようです。また定年も早く設定している神社が多く、20代後半というところもあります。

 

  • 助勤巫女

神社での繁忙期に採用されるアルバイトの巫女です。学生アルバイトの他に、神職養成機関の研修としても採用されることがあり、本職巫女とは千早の色で区別されていることが多いようです。本職巫女を目指す第一関門と言えるでしょう。

 

ここからは時代毎に移り変わる巫女の歴史についてご紹介していきます。

 

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巫女の歴史

古代の巫女

前述したように古代期では巫女は人々の生活の中心であったといっても良いでしょう。

実際にシャーマンとしての巫女の登場は弥生時代であったと言われており、精霊や神霊をその身体に憑依させ、神託を伝えていました。この時代は巫女が祭祀を司っており、その地位は高かったのです。邪馬台国の卑弥呼がその代表です。

その後、大和朝廷の時代になると、政治の実権は男王に移り、巫女は政治の中心から排除されてしまいます。この頃は神社においても男性の神職が祭祀を行うようになり、巫女はその補助者という位置づけになります。

平安時代に入ると神社での祭祀に雅楽や神楽舞といった芸能的な要素も含まれたものも行われるようになり、これを巫女が行う巫女舞が奉納されるようになったのです。

中世の巫女

中世以降になると神社での巫女舞が定着し、今の形に近づいていきます。この頃は巫女舞の他にも獅子舞や曲独楽(きょくごま)なども行われ、神楽も芸能色が強まり、これにより一気に全国へ広がっていきます。

この頃に登場する出雲大社の巫女である「出雲阿国(いずものおくに)」が歌舞伎のもとを生み出します。出雲阿国は勧進のために全国を遊行し、ここで舞を披露していました。これを遊女が真似をして演じるようになり、遊女歌舞伎と呼ばれるものが誕生するのです。

近世の巫女

明治時代に入ると男権的な国家神道の見地から、神道統制が始まります。近代国家建設を目指す政府により、「巫女禁断令」が発せられ、巫女の存在は弾圧されるようになります。

しかし一部の神社から反発があり、巫女の神道的存在意義が主張され、芸能としての文化的価値を見いだされ、巫女舞が受け継がれていくのです。この頃には宮内庁楽部により、新しい楽曲も創作され、祭祀の際に巫女舞が奉納されるようになっていきます。

現代の巫女

現代においてはこの流れが受け継がれ、神社で神職の補助や、祭祀での巫女舞の奉納を行う、職業としての巫女が一般化しており、憑依など特別な能力を持った巫女は「イタコ」や「ノロ」といった一部の地域でしか残っておりません。

職業としての巫女の就職については資格や能力の有無は必要はありません。また男女雇用機会均等法の適用外となっており、女性を指定しての募集も認められています。

【まとめ】巫女について

巫女の意味・由来

  • 巫女は「日本の神に仕える女性」で神子・御神子とも呼ばれる。
  • 起源は古事記・日本書紀に登場する「天鈿女命」という女神。

古代巫女の役割

  • 祈祷や憑依による神のお告げを伝える役目や儀式においての神楽舞の舞人を担っていた。
  • 弥生時代以降、国を治めるほどの社会的権力を持っていた。
  • 大和朝廷の時代には政治の舞台から退くこととなり、朝廷の儀式などを行う「巫系巫女」と憑依能力を生業とする「口寄せ系巫女」に分類された。

現代巫女の役割

  • 明治維新の際に「巫女禁断令」が発せられ、巫女の文化が弾圧される。
  • 芸能文化として巫女の存在が重要視され、神社での巫女が復活し始める。
  • 「神社巫女」と呼ばれる神社での奉仕を仕事とする職業としての巫女が定着していく。

巫女の種類

朝廷の巫

  • 朝廷の儀式を執り行う巫女。祭祀の際に巫女舞を奉納する。

口寄せ系巫女

  • 憑依能力によって体に神霊や祖霊を宿し、お告げや神託を人々に伝えた。

渡り巫女

  • 神社には所属せず、全国各地を周り、祈祷や勧進を行なっていた巫女。
  • 遊女の一面も持ち、舞や芸を披露して金銭を得ていた。

本職巫女

  • 現在の職業としての巫女。神社に従事している。
  • 神職の娘や、近親者がなることが多い。

助勤巫女

  • 神社の繁忙期に雇われるアルバイト巫女。
  • 学生アルバイトや神職養成機関の研修として採用されることが多い

 

巫女の歴史は長いのですがその時代の権力や文化によって様々に変化してきました。しかし、その存在は私たちと神を結ぶ橋渡し的な存在であることは変わりません。巫女による美しい巫女舞をこれからも見ることができるでしょう。