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シャーマニズムにおける音楽の役割と世界の実例【4選】

シャーマニズム 音楽

シャーマニズムに使う音楽って、どんな音楽なのでしょう。疑問に思いますよね。

怪しい笛?太鼓?けたたましい音が鳴り響くのでしょうか。

今日はあまり身近でないシャーマニズムと音楽について調べていこうと思います。

実際にどういった音楽が奏でられるのか、世界のシャーマニズム音楽をご紹介します

では、早速みていきましょう。

 

シャーマニズムの音楽に乗せた舞はこちら

シャーマニズムと音楽について

まずは、シャーマニズムと音楽についてスポットを当てていきます。

音楽はシャーマンにとって「神の声」を伝える手段

古代エジプト人は

  • 音=神の声

と考えました。彼らにとって音は、人間が作ったり、奏でたりするものではないのです。

確かに、風の吹く音や雨の降る音など自然の音は、人間が作り出そうとしてできるものではありません。

それだけでなく、人間の歌声も、何かを叩いて出る音も全て「神の声」だと考えられていました。

そこで、霊や神霊と交信することができるシャーマンが、音楽や歌を「神の声」として、ヒーリングや治療を行っていました。

 

今のように、科学や医学が発達してはいません。病気やケガをしたとき、原因不明の症状が現れたとき、人々はシャーマンを頼って生活していました。

シャーマンとは、トランス状態に入って霊や神霊など超自然的存在と交信する現象を起こすとされる職能・人物です。ツングース語で「巫者、呪医、預言者、呪術師」の一種を指す「シャマン」に由来します。

病気やケガ、精神の不調は霊や精霊が引き起こすと考えられ、その精霊をなだめたりすかしたりする為に、音楽が用いられたのです。シャーマンは、舞踊や呪文,あるいは太鼓,鈴などを使い、没我の境地に入り,さまざまな業を行います。そこには「神の声」の考え方が、根底にあるのでしょう。

踊ったり、歌ったり、楽器を演奏することで、ヒーリングや治療を行う様子は、後ほど動画でもご紹介していきます。

シャーマンの数だけ音楽もある

後ほどご紹介する動画でもそうですが、シャーマンの音楽は一様ではありません。リズムも歌も、使われる楽器も、それぞれに違います。そして、同じ種類のシャーマンの中でも、それぞれに違った音楽があるようです。

沖縄に「ユタ」と呼ばれるシャーマンがいます。彼女たちが神がかりをし、神と交信する際に出す声、唄の音律は、ユタそれぞれによって違っています。

 

カンカカリヤー(神がかり)は唱え口を唱えているうちに神が憑依し、神がかりとなってウクイ(御声)を唄い出す。これは神との交信によって即興的に唄われるが、その音律はユタによって様々で一定していない

引用:「シャーマニズムと音楽についての考察」

と述べられます。

 

シャーマニズムの音楽に乗せた舞はこちら

シャーマニズム音楽の紹介

これまで、音=神の声であり、シャーマン達は歌や音楽によって神のお告げを人々に伝えてきたこと、その歌や音楽はシャーマンそれぞれによって違っていることについてみてきました。

続いて、世界各地のシャーマンの音楽を実際にご紹介していきます。

 

【キューバのシャーマン】

カリブ海のキューバにいるシャーマン、ババラオは、歌と踊りにより神の世界のメッセージを伝えます。

衣装も鮮やかで、皆楽しそうに儀式に参加していますね。

 

【ケニアのシャーマン】 

続いては、東アフリカのケニアにあるミリティーニ村での「カヤンバ・ザ・ペポ(カヤンバの精霊を呼ぶ音楽)」という儀式の様子です。

カヤンバは動画にも出てくる板状の楽器で、竹で作ってあり中に小石が入り、さらさらという音が出ます。

カヤンバ・ザ・ペポは、悪い病気などを追い払う儀式です。楽器、男女の歌声、ダンスで儀式は盛り上がります。

これは、悪い聖霊に出て行ってもらうためですが、単に追い出すわけではないそうです。聖霊を呼んで、一緒に歌って踊って、聖霊自身にも楽しんでもらって満足してもらい、喜んで体から出て行ってもらうための儀式です。

 

【韓国のシャーマン】

韓国のシャーマンは巫堂(ムーダン)、マダンと言われます。

マダン(女性が多い)は、悪霊払いや豊漁や豊饒を祈るときなどの儀式(クッ= Kut)を司ります。ケンガリやチンといった楽器が打ち鳴らされる中で自らに神を憑依させ、トランス状態に入る中でお告げを行ったりします。

 

【ペルーのシャーマン】

修行をつんだシャーマンが、イカロスという歌を夜通し歌いつづけ、儀式が執り行われます。そこではアマゾン北西部で伝統的に用いられているアヤワスカ(植物、幻覚剤)が使われます。

 

以上、世界各地のシャーマニズムと音楽についてみていきました。

それぞれ違った趣をもっていましたが、共通点としては

  • 神霊に訴えかけるものであること
  • 没自我への導入ツールであること

などが言えそうです。

【まとめ】シャーマニズムと音楽について

これまでの内容を振り返ります。

  • 音楽はシャーマンにとって「神の声」を伝える手段
  • シャーマンの数だけ音楽もある

ことが分かりました。

世界各地に様々な形でシャーマンが行う儀式、そこで演奏される歌や音楽、楽器がありました。

それぞれ違った音楽でしたが、無性に引きこまれるものばかりでしたね。

他にもたくさんシャーマンが奏でる音楽が紹介されていますので、いろいろ探してみるのも、面白いかもしれません。

 

シャーマニズムの音楽に乗せた舞はこちら