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神社でよく見る磐座(いわくら)とは?代表的な7つの磐座

磐座 神社

神社で大きな岩が玉垣で囲まれていたり、岩に注連縄が張られていたりしているのを見かけることがあります。これは「磐座(いわくら)」と呼ばれるもので、神道の中でも神聖視される岩なのです。

この磐座にはどのような意味があるのでしょうか。神社でなぜ「岩」が祀られているのでしょうか。

ここでは磐座についてご紹介していきます。

 

元巫女による創作舞はこちら

神社にある磐座について

磐座とは?

日本古来の信仰である「神道」は、開祖や教典というものがなく、日本神話の物語である「古事記」・「日本書紀」を基本とした「自然信仰」となっています。これは「自然のものには全てに神が宿る」という「八百万の神(やおろずのかみ)」の教えとなっています。

この中で特に神聖視される「岩」が磐座です。神を「依代」とした磐座に降臨させ、その神威を持って祭祀を行っていました。常に神がいるとされる神殿の建設が進むにつれ、祭祀自体は神社で行うようになっていきましたが、この磐座を元に建設された神社も多く存在し、境内に注連縄が飾られた霊石として残っている場合もあります。

「いわ」の意味と「くら」の意味

この磐座の意味を「磐(いわ)」「座(くら)」に分けて考えてみましょう。

「いわ」は本居宣長の「古事記伝」の注釈によると、天石位(あまのいわくら)を「天津神が座る堅固な座」とし、堅固なものを表す美称として表現しています。しかし、その後の「玉勝間」での和歌の注釈では「いこま山 手向はこれか木の本に 岩くらうちて 榊たてたり」を「木の根元に、岩で作った榊の祭場」とし、実際の「岩」としています。

現在の研究では、後者の「岩」からきていると結論されています。

「くら」は類語とされる「御座石」や「御座岩」などから、神々が石に座るという意味から起こったものと考えられ、「神が占める座」という意味と考えられています。

つまり、「いわくら」は「神が占める岩石」という意味であるとされています。

「石神」との違い

「石神」というものも存在しますが、磐座は「神が座る岩」ということなので、神そのものである石神とは区別されるものとなります。

 

ではここからは実際に磐座の存在する神社についてご紹介します。

 

元巫女による磐座での舞

磐座が拝めるおすすめ神社【7選】

<奈良県>大神神社

奈良県の三輪山にある大神神社(おおみわじんじゃ)は古事記・日本書紀の神話にも記されている神社で、御祭神の「大物主大神(おおものぬしのおおかみ)」は国造りの神様で農業、工業、商業など、人間の生活全てに関わることの守護神として祀られています。

大神神社のある三輪山には神霊の鎮まる岩が点在しており、頂上の磐座には大物主大神、中腹には大己貴神(おおなむちのかみ)、麓の磐座には少彦名神(すくなひこなのかみ)が鎮まると言われています。

 
 
 
 
 
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<三重県>二見輿玉神社

三重県伊勢市にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)は御祭神に猿田彦大神(さるたひこおおかみ)を祀り、縁結びや、夫婦円満にご利益のある神社とされています。この神社の正面に見える海の沖合いには、「夫婦岩」と呼ばれる磐座があり、霊石「輿玉神石」と日の大神を遙拝するための鳥居と言われています。

境内には猿田彦大神の使いとされる二見蛙が多数奉納されています。

 
 
 
 
 
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<三重県>神内神社

三重県紀宝町にある神内神社(こうのうちじんじゃ)は社殿はなく、岩壁をご神体とする神社です。スギや、ヒノキ、ケヤキなどが生い茂り、岩にはシダやコケが繁茂しています。別名「子安神社(こやすじんじゃ)」とも呼ばれ、安産の神様としても有名です。

 
 
 
 
 
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<福井県>飯部磐座神社

福井県越前市にあり、天照大神、八幡大神、猿田彦命が御祭神。こちらは境内に大きな磐座がいくつもあり、全て遠方より運び、積み重ねて祀られたものです。全くの平地に人工的に作られた磐座神社となっています。

 
 
 
 
 
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<滋賀県>雨宮龍神社

滋賀県東近江市にある雨宮龍神社(あめみやりゅうじんじゃ)は織山(きぬがさやま)の山上300メートルのところにあります。山道は石段道になっており、長い階段が続いています。こちらは神社名からもわかりますが、水神信仰の神社で弘法大師による雨乞いも行われたと言われています。

こちらの鳥居の周りや、社殿近くには玉垣で囲まれた磐座を見ることができます。

 
 
 
 
 
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<鳥取県>宇倍神社

鳥取県鳥取市にある因幡の一の宮である宇倍神社(うべじんじゃ)は御祭神に大臣の祖である武内宿禰命(たけのうちのすくねのみこと)が祀られています。

命は因幡国の亀金岡(かめがねのおか)に双履を残し、360歳でお隠れになったことで長寿の神とされています。この宇部神社には本殿の後に双履石と呼ばれる磐座があり、霊跡石とされています。

 
 
 
 
 
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<鳥取県>赤猪岩神社

鳥取県南部町にある赤猪岩神社(あかいいわじんじゃ)は日本神話の中の「大国主の再生神話」の舞台となる神社です。

これは大国主が兄弟神に騙されて真っ赤に焼かれた岩に潰され命を落とした際に母神である刺国若比売命(さしくにわかひめのみこと)の力によって生き返ったとされる物語です。

この神社には大国主が抱いて落命したとされる岩が祀られています。この岩はこの地を穢さないように地中深く埋められ、その上を大石でふさぎ、柵に注連縄が張られています。

「再起」、「再生」の御加護があるとされ、多くの方が参拝に訪れています。

 
 
 
 
 
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【まとめ】神社にある磐座について

  • 神道は「自然のものには全てに神が宿る」という「八百万の神」を崇める「自然信仰」である。
  • 古代期には神を「依代」とした磐座に降臨させ、その神威を持って祭祀を行っていました。
  • 「磐座」の語源は、神々が石に座るという意味から起こったものと考えられ、「神が占める座」という意味と考えられている。
  • 「石神」は神そのものであり、磐座とは「神が座る岩」なので別のものとして区別される。

特に有名なものや、伝説とされる物語のある岩が「磐座」として祀られていますが、自然のものはどこにでも神は宿るという教えが神道です。山や森、神社において「何か惹かれる」感情が生まれる岩や木に巡り会えたら、それはあなたにとって神につながる依代なのかもしれませんね。そんな出会いを探してみてはいかがでしょうか。