2020/06/10

神社で見られる舞の種類や由来は?見学におすすめの神社はココ

神社 舞

神社での祭礼や神事の際に巫女が音楽に合わせて舞を舞っている姿を観ることがあります。

普段見ることのできない光景に目を奪われてしまう方もいるのではないでしょうか。

この舞には様々な種類があり、またひとつひとつの舞に込められた意味があります。

ここではそんな

  • 神社で見ることのできる舞の種類
  • それぞれの舞の由来
  • 舞の見学におすすめの神社

をご紹介します。

舞を見るときにその種類と込められた意味を知っておくと、今まで以上に深くその世界に入ることができますよ。

 

全国各地の神社で奉納している舞はこちら。

神社で見られる舞について

神社で行われる舞は「神楽舞」

神社で行われる舞は、「神楽舞(かぐらまい)」と言われる舞になります。

神楽舞とは、神社で行われる祭礼の際、神様に対して祈りと感謝を伝えるために奉納される舞で、

  • 神前で奉奏され
  • 祭典の式次第(祝詞奏上後)に組み込まれ
  • 日本古来の神楽歌に倣い、歌と雅楽演奏を用いて奉奏される

ものとなります。

神様への祈りや感謝の気持ちを伝え、舞を観ていただくことで神様の心を和ませ、元気になっていただくためのものなのです。

神道には

「神は人の敬いによりて威を増し、人は神の徳によりて運を添う」

という言葉があり、人の感謝の気持ちが神様の力になり、それにより人はまた神様からの恩恵を受けられるという意味です。

そのうえで「神楽舞」は重要な儀式であると言えるでしょう。

神社の舞「神楽舞」の由来

神楽舞の起源は日本最古の書物とされる「古事記」、「日本書紀」に登場する「天戸隠れ」という神話から来ているとされています。

この物語は、太陽神「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が天の岩戸(あまのいわと)に閉じこもってしまった際に技芸の女神「天鈿女命(あめのうずめ)」が舞を踊って天照大御神を岩戸の外に誘い出したという話です。この天鈿女命は巫女のルーツと言われています。

この神話から、神様に祈りや感謝を伝える際に舞を踊るようになったのです。

神楽舞と雅楽

神楽舞の奉納の際に行われる演奏を「雅楽(ががく)」と言います。

雅楽は1200年以上の歴史があり、日本だけでなく、世界の古典音楽としても高く評価されています。

飛鳥時代から平安時代初めにかけて中国大陸や朝鮮半島から伝えられた音楽が元となり、宮廷の儀式音楽として伝承されてきました。明治時代には宮内庁式部職楽部が創設され、現在も民間の演奏団体により継承されています。

雅楽で使われる楽器は、次の8種類。

管楽器(三管)

  • 笙(しょう)
    17本の細い竹管が円形に配置されていて、「翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれています。
  • 篳篥(ひちりき)
    葦舌(した)と呼ばれるリードを使う管楽器です。主に主旋律を担当します。
  • 龍笛(りゅうてき)
    竹で作られた横笛です。音域が広く、低い音から高い音まで響く音色は「舞立ち昇る龍の鳴き声」と言われています。

弦楽器(両絃)

  • 琵琶(びわ)
    弓は使わず弦を弾いて音を出す弦楽器。五弦琵琶、平家琵琶、唐琵琶などその種類は様々にあります。
  • 箏(そう・こと)
    琴が弦を支える柱がなく、弦を押さえる場所で音程を決めるのに対して箏は柱(じ)と呼ばれる支柱で弦の音程を調節します。

打楽器(三鼓)

  • 鞨鼓(かっこ)
    奏者に対して横向きに置き、桴を使って両面を打ちます。
  • 太鼓
  • 鉦鼓(しょうこ)
    一般的には金属製(青銅)で「架(か)」と呼ばれる台にかけて使用されます。

以上の通りで、西洋のオーケストラと同じ楽器編成となっています。

神楽舞の今と昔

神様への感謝の気持ちを伝えるために始まった神楽舞ですが、現在は少し変化もしています。

現在、神社で行われる神楽舞は明治時代以降に作舞された舞がほとんどになっています。これは明治時代の神道統制により、舞を舞う「巫女」が「巫女禁断令」により弾圧されてしまったためです。近代国家建設を目指す政府は、巫女によるご神託という行為が文明開化の妨げとなるとして禁止してしまったのです。

この後、神楽舞は芸能としての舞に変化し、新たに作舞され復活していくのです

もちろん、神様への奉納という意味は継承され続けていますが、それに加え、観光芸能としての一面も現れます。地方では過疎化が進んでおり、この対策のため、多くの人々に観にきてもらうことで地方での観光資源として利用されるようになりました。

神社で舞われる舞「神楽舞」の種類と特徴

神楽舞は大きく分けて、

  • 巫女神楽
  • 獅子舞系神楽
  • 出雲流神楽
  • 伊勢流神楽

に分類されています。

それぞれ見ていきましょう。

巫女神楽

 
 
 
 
 
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一般的に巫女舞と呼ばれる、巫女による舞です。

巫女自身の上に神が舞い降りる「神がかり」の儀式のために行われた舞が元になっており、現在では、

が有名です。

衣装は、巫女の衣装である

  • 千早(ちはや)
  • 緋袴(ひばかま)

で舞われることが多く、

舞具は

などが一般的です。

獅子舞系神楽

 
 
 
 
 
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獅子舞についての起源は諸説ありますが、飢饉や厄除、悪魔祓いと行った意味があるようです。

その種類は多様で、1人で1匹の獅子を演じる「1人立の獅子舞」2人以上で演じる「2人立の獅子舞」また10人など大人数で演じる「むかで獅子」などがあり、現在ではお正月に舞うことが多くなっています。

出雲流神楽

 
 
 
 
 
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採物神楽とも呼ばれます。採物とは神事で手に持つ道具のことで、刀や弓、鈴や榊などになります。

その源流とされるのは島根県松江市の佐太神社に伝わる「佐陀神能」で舞う「七座」と言われています。こちらは面をつけずに舞うことが一般的です。

伊勢流神楽

 
 
 
 
 
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湯立を主とするところから「湯立神楽」、霜月(旧暦11月)に行われることが多いことから「霜月神楽」とも呼ばれています。伊勢外宮の神楽役が演じていたものが元となったため伊勢流と呼ばれるようになりました。

湯立とは釜に湯を沸かし、この湯を神様へ献じてその後人々にふりかけ、払い清める神事です。

この神事の際に舞われる湯清めの舞が伊勢流神楽と呼ばれます。

 

以上4種類が、おおまかな神楽舞の種類です。

では、実際神社で神楽はいつ見れるのでしょうか。いくつかの代表的な神社をご紹介します。

 

全国各地の神社で奉納している舞はこちら。

神社で舞を見られるのはいつ?

毎日・毎月舞を見られる神社

戸隠神社(長野県)

戸隠神社で祀られている御祭神は「天手力男命(あめのたぢからおのみこと)」や、「天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)」、「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」など、神楽の起源となる「天岩戸開き」に関係のある神々です。

2,000年以上の歴史のある神社で、こちらでは「太々神楽(だいだいかぐら)」と呼ばれる神楽舞が1年を通して観ることができます。

その舞は諸悪や災いを打ち払う舞、水を司る神の姿となり、五穀豊穣を祈る舞、愛らしい巫女の舞、天の岩戸開きにちなんだ舞など10種類(十座)の舞があります。

美保神社(島根県)

美保神社の御祭神は「えびす様」で知られている「事代主神(ことしろぬしのかみ)」です。えびす様は釣竿に鯛を持った姿から海上安全や商売繁盛の神様とされていますが、歌舞音曲の神様でもあり、祭礼の際に神楽舞が多く行われています。

こちらでは朝と夕方に

  • 朝御饌祭(あさみけさい)〈朝8:30から〉
  • 夕御饌祭(ゆうみけさい)〈夕15:30から〉

と呼ばれる儀式が毎日行われており、この際巫女による巫女舞が舞われています。

御饌とは神饌(しんせん)ともいい、神様に供える食べ物のことです。この儀式は毎日欠かさず行われ、巫女舞も一年中観ることができます

祭事で舞を見られる神社

神田明神(東京都)

神田明神の正式名称は「神田神社」で東京の中心である神田、日本橋など108町会の総氏神で「明神さま」と呼ばれ親しまれています。御祭神として「平将門命(たいらのまさかどのみこと)」が祀られていることでも有名です。

こちらでは年の初め、1月に「神楽始」という神事が行われ、神楽舞が舞われます。この舞は江戸時代から神田明神でしか舞うことの許されていない舞となり、とても幻想的です。

八坂神社(京都府)

京都の東山区にある八坂神社は慶応4年(1868年)に改称されるまで、「感神院」または「祇園社」と呼ばれていました。「十三座」と言われる13の御祭神が祀られていてその中でも「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」が有名です。

7月にある「祇園祭」は1ヶ月の間行われ、1,100年の伝統を有する祭礼です。

こちらでは国無形文化財にも指定されている「石見神楽(いわみかぐら)」という神楽舞を観ることができます。御祭神である素戔嗚尊の神話にあるヤマタノオロチ退治が元になっている舞で、芸能色の強い見応えのある神楽舞となっています。

また、6月には「御神楽奉納」の神事にて弥栄雅楽会による「人長の舞」が奉納されるほか、3月の「祈年祭」でも巫女舞を観ることができます。

神前結婚式で舞を見られる神社

東京大神宮(東京都)

明治13年に創建された東京大神宮は「東京のお伊勢さま」と呼ばれ親しまれています。

こちらは神前結婚式の創始となっています。明治33年の当時の皇太子殿下(後の大正天皇)と九条節子さま(後の貞明皇后)のご結婚の礼に始まり、その後一般の人々にむけた神前結婚式を創始してきたのです。

この神前結婚式では神職、巫女、楽人の総勢13人によりご奉仕され、雅楽の調べの中で、三献の儀や巫女舞が行われます。ここでは「豊栄の舞(とよさかのまい)」のほか、かつての伊勢神宮祭主・北白川房子さまから賜った祝婚歌の調べで舞う「豊寿の舞(とよほぎのまい)」が舞われます。「豊寿の舞」は、東京大神宮でしか観ることができません。

鶴岡八幡宮(神奈川県)

鶴岡八幡宮は「鎌倉八幡宮」とも言われ、三大八幡宮のひとつです。鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝ゆかりの神社で、武家の精神のよりどころとなっていました。

こちらは境内の中心にある「舞殿」と本宮の御子神が祀られる「若宮」で神前結婚式を挙げることができます。1日1組限定で行われる結婚式の中では雅楽の演奏の中、巫女による神楽舞が行われます。

その他、1月の「神楽始式」や12月の「御鎮座記念祭」などでも神楽舞を観ることができます。

事前に調べてからの参拝がおすすめ

神社での祭礼は年間行事としてスケジュールが決まっていますが、その都度内容が変わることがあります。事前に神社の公式ホームページや、電話での問い合わせなど確認してから参拝しましょう。

【まとめ】神社で見られる舞について

では、最後にまとめです。

神社で見られる舞は「神楽舞」

  • 神様に感謝を伝える舞
  • 神様の心を和ませ、元気になっていただく為の舞

神楽舞の由来は「神話」

  • 「天戸隠れ」という神話が由来
  • 舞を舞った「天鈿女命」が巫女の起源

神楽舞には大きく4種類ある

  • 巫女神楽
  • 獅子舞神楽
  • 出雲流神楽
  • 伊勢流神楽

 

現在では芸能としての一面もあり、様々に変化していく「神楽舞」も、その舞による祈りへの想いは今も変わらず受け継がれています。1,300年以上経った私たちの暮らしの中でも、神様への感謝と願いを伝えるその舞の気持ちの重みがその舞の美しさに現れているのではないでしょうか。

観に行かれる際は、神楽舞と共に神様への感謝の気持ちを伝えることを意識してみてください。きっと今までと違った神楽舞が観れると思います。

 

全国各地の神社で奉納している舞はこちら。