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お寺に巫女さんがいるのはなぜ?理由やその歴史を知って納得

寺 巫女

神社で見かける白衣に緋袴の女性。皆さんも目にしたことがあるでしょう。彼女達「巫女」は神道という宗教の中で神に仕える女性です。

ですが、「神社」以外でも見たことがある人もいるのではないでしょうか?そう、「寺院」です。

寺院といえば仏教となり、神道とは別の信仰対象となるのに何故?と考えると思いますが、ここには理由があるのです。

ここではお寺、仏教と巫女との関係性についてご紹介していきます。

これを読めば「何故お寺に巫女さんがいるのか」や、「神道と仏教の関係性」が見えてくると思います。

 

元巫女による創作舞はこちら

お寺に巫女さんがいる理由

巫女さんという職の浸透

巫女は日本の神に仕える女性のことです。日本の神=神道のことになりますので神社で神に仕える女性のことになります。

元々は神や祖霊を自身に憑依させ、自分の体を使って神や霊の言葉を人々に伝えるシャーマンとしての能力を持つ女性でしたが、現在ではこういった能力を持つ巫女は「イタコ」や「ノロ」といった一部の巫女に限られています。

明治時代に「巫女禁断令」が発せられて以降、巫女は神社での神事を補佐する役割へと変化していきました。これを「神社巫女」と呼び、職業としての要素が強くなっていくのです。

そして明治時代以降、巫女は神事での補佐や神楽舞の舞人として、その地位を確立していき、「神社で神に仕える女性=巫女」となりました。神社で白衣に緋袴の女性といえば知らない人はいないくらいに職業としての認知度は確かなものになっているのです。

お寺の中に神社があるから

ではなぜお寺に巫女がいるのでしょうか?これは神社(神道)と寺院(仏教)の密接な関係に要因があります。

実は現在の寺院の中には、その境内の中に神社があり、神を祀っているところがあり、全国でみてもその数は少なくありません。全く別の信仰宗教なのに何故?と思われると思いますが、日本においてはこの流れは当たり前のようにあったのです。

これは日本独特に変化した宗教体系によるものだったのです。そして、この寺院の中にある神社で神に仕える存在が「神職」であり、「巫女」でした。この体系が現在も続くことにより、「お寺にいる巫女」という存在が誕生したのです。

しかし、現在ではその職の内容は、寺院での雑務などアルバイト的な内容が多く、形式だけの存在となっているお寺も多いようです。

 

ここからはこの仏教と神道の関係性についてご紹介していきます。

神社とお寺の共存について

昔は神社と寺院の共存は当たり前だった

今では神社とお寺は全く別の場所にあり、それぞれの信仰の象徴として成り立っていますが、それは最近出来上がったもので、元々は共存していました。

これは「神仏習合」の考え方からきているものです。神仏習合とは、日本にあった神祇信仰と呼ばれる神道と仏教信仰が融合し、ひとつの信仰体系として確立した宗教現象です。

平安時代には神前で読経が行われたり、神に菩薩号をつけたりもされていました。また、仏、菩薩が仮に神の姿になったとされ、阿弥陀如来の垂迹を八幡神、大日如来を伊勢大神とする考え方も広まっていました。

この流れは明治維新まで続き、日本では1,000年以上「神仏習合」の時代が続いていたのです。

このような状況から、寺院ではお寺の境内に神を祀るために神社(祠)を建てるところも出てきました。

始めたのは僧侶・最澄

寺院の境内に神を祀り始めたのは天台宗の開祖である「最澄」と言われています。

最澄が比叡山延暦寺を建てた際に、すでに比叡山には日吉信仰といわれる自然神信仰が息づいており、最澄は比叡の神を祀り、寺院の守護神として参拝しました。

これが寺院の中にある神社の始まりと言われています。これにより神仏習合の動きは加速し、平安時代には寺院の中に神社、また神社の中に寺院が当たり前のように存在するようになるのです。

神仏判然令により個々に分かれることに

神社とお寺は信仰の対象としてそれぞれが強く結びつき、この関係を維持してきましたが、明治時代に入り、神道を国教化しようとする明治政府により、「神仏判然令」が出されることになります。俗に言う「神仏分離令」です。

明治政府は、この令に仏教を虐げる意志はなかったようですが、一部の国学者に神仏習合に難色を示していた人たちがおり、この者達により、寺院部分が壊されるなどの被害も出ていたようです。

「神宮寺」はその名残

人名や地名に「神宮寺」というのを聞いたことがあると思います。これは元々、「神社の中にあるお寺」という意味の言葉でした。またこの頃は、神社の管理のために神社に寺を置くということも行われこれを「別当寺」と呼ぶこともありました。

【まとめ】お寺に巫女さんがいる理由は?

お寺の中に神社があるから

  • お寺の中には神を祀る神社のあるところがあった。
  • ここに仕えていた巫女が、現在ではお寺での職務を行なっているところがある。
  • 本職の巫女ではなく、アルバイト的な巫女が多い。

このようにその時代の政治や信仰の変化により、巫女の存在も形を変えてきたのです。現在ではひとつの職業として、神社、お寺関係なく存在しているのですね。信仰については人それぞれの考え方もありますが、神社の巫女さんもお寺の巫女さんも私たちの信仰心のお手伝いをしてくれているわけです。