座禅と瞑想の違いは?その効果からやり方までわかりやすく解説
古くから日本にある文化「座禅」は、日本国内だけでなく今では世界中で効果的だと認められ、日常の中に取り入れられています。シンプルで美しいAppleを作ったスティーブ・ジョブズもまた日本へ赴き禅を学んでいました。余計なものをすべて削ぎ落とし、本質に向き合うという禅の教えが、あのiPhoneやMacの余計なものが省かれた美しいデザインが生み出されたといえるでしょう。
座って目を閉じて行う座禅と似たものがあります。それが「瞑想」です。
しかし、なぜジョブズは瞑想ではなく「禅」を学んだのでしょうか。
今回は
- 瞑想と座禅の違い
- 座禅の仕方
- 瞑想の仕方
を深く掘り下げて紹介していきます。
この記事を読めば、瞑想と座禅の違いを知ることができ、より深い瞑想の世界を堪能できるようになりますよ。
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座禅と瞑想|意味の違いと効果の違い
座禅とは?
坐禅は瞑想に似ていますが、歴史的背景は大きく異なっています。
瞑想はインドの仏教に対し、座禅は仏教の中でも大乗仏教の一派である禅宗で行われるものです。禅宗は中国で生まれ、鎌倉時代に日本に伝わります。
また、座禅は瞑想に似ていると言いましたが、実は座り方は異なっています。
マインドフルネス瞑想や瞑想では、座り方を厳しく決められていません。辛いと感じたら姿勢を崩しても良いですし、足の組み方も決まっておらず椅子に座っても構わないとされています。
一方、座禅では座り方は厳しく決められています。主に次のどちらかで行います。
- 結跏趺坐(けっかふざ)
両足を組む座り方。右の足を左ももにのせ、次に左の足を右ももにのせます。
- 半跏趺坐(はんかふざ)
片足を組む座り方。右の足を左ももの下に入れ、左の足を右ももにのせます。
また、曹洞宗では壁に面して、臨済宗では壁を背にしてあぐらをかきます。
参考までに、座禅についてわかりやすく解説してくれている動画をご紹介します。
瞑想とは?
瞑想の歴史は古く、いまから約5,000年前、紀元前3,000から2,500年のインダス文明の頃に、ブッダがブッダガヤの地で悟りを開いた時に行っていたのがこの瞑想だと言われています。
瞑想ではあぐらをかいて、目を閉じて心を落ち着けるなどの行為全般を指すことばとして使われています。
仏教瞑想からストレス緩和法として編み出したのが「マインドフルネス瞑想」と呼ばれるものです。
昨今ではGoogleで瞑想が取り入れられていたり、様々な有名人が取り入れていることで話題となり、瞑想といえばマインドフルネス瞑想と想像する人が多いと思います。
しかし、マインドフルネス瞑想と瞑想は、実は目的が異なっています。
- 脳がほぐれ、疲れも不安もなく穏やかな気持ちになることが「瞑想」の目的
- 効率的に仕事ができてストレスなく日々を生きるためにやることが「マインドフルネス瞑想」の目的
今回はマインドフルネス瞑想ではなく、「瞑想」を中心に
- 座禅と禅の違い
- 関連性はどこか
を見比べていきましょう。
座禅と瞑想の関連性
座禅と瞑想は、歴史の違いや座り方の違いが違っていることがわかりますね。しかし、関連性も多くあります。大きく分けて3つ
- 仏教である
- どちらも心が無になる状態を目指して行うこと
- 呼吸を意識して行うこと
です。
では、その効果にはどのような違いがあるのでしょうか。
主な効果とは?
瞑想の主な効果は、次の通りです。
- ストレス軽減
- 疲れにくい身体になる
- 不眠の解消、睡眠の質の向上
- 集中力が上がる
誰もが怒っている時や、不安を感じている時は呼吸が浅く、心拍数が早くなります。それによりストレスをより感じやすくなったり、不眠、集中力が低下してしまいます。
瞑想では呼吸に集中することにより、呼吸が深くなる効果が科学的にも認められており、結果上記のような効果が現れると言います。
一方、座禅には次の効果があると言われています。
- 安らぎが得られる
- 集中力が上がる
- ストレス軽減
その効果に大きく関連しているのが「セロトニン」です。
セロトニンとは『ノルアドレナリン』や『ドーパミン』と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。
睡眠・体温調整、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。また、痛みや、食欲、睡眠覚醒周期などの制御にも関連していると言われています。
つまり、セロトニンが不足してしまうと、感情や気分のコントロール、痛みや食欲などの制御ができなくなってしまいます。結果、ストレスが溜まりやすくなってしまったり、不眠症に陥ってしまうのです。
セロトニンを正常に活性化するためには3つの方法があります。
- 太陽光
太陽の光を目に受けることによってセロトニンが活性化する
- 規則正しい生活習慣
しっかりと睡眠時間を確保し、深く眠ることでセロトニンが活性化する
- リズム運動
ウォーキングやラジオ体操など、一定の時間一定のリズムで動くようなものをリズム運動と言います。腹式呼吸もこのリズム運動に入ると言われています。
特に丹田呼吸法と呼ばれる腹式呼吸が一番効果的だと言われています。
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ここまで見ても瞑想と座禅の効果はほとんどが一致していることがわかりました。どちらをやっても同じなのであれば、分ける必要もなさそうですよね。
しかし、実は最大の違いは「目的」です。それぞれどのような目的があるのか、具体的に見ていきましょう。
座禅と瞑想の実践
座禅と瞑想の違いは「目的」
瞑想は脳がほぐれ、疲れも不安もなく穏やかな気持ちになることが目的です。
それに対し、座禅は何もありません。言うなれば座禅を行うことが座禅の目的です。
目的がない、目的を設定してはならないのが座禅なのです。
ランニングを例にしてみましょう。瞑想やマインドフルネスが「痩せたいから走る」というように目的を持つものだとすると、坐禅は「ただ走る」。その結果、痩せたり、健康になったりするというイメージです。
決してどちらの方が良くてどちらの方が悪いのかではなく、自分に合っているのはどちらなのかが大事になってきます。それは実際にやって経験してみなければわかりません。
では、座禅のやりかたと瞑想のやり方を詳しくご紹介していきます。
座禅の実践
時間帯
座禅に適した時間帯というのは特にありません。基本的にいつでも座禅はすることができます。しかし、唯一座禅に適さない時間があります。それが食事の前後です。
空腹の時や満腹の時は、集中がしにくかったり、お腹が圧迫されて苦しかったりします。自分のコンデションが万全である時に行うと効果が得られやすくなります。
服装
体が窮屈に感じないゆったりとした服装をお勧めします。パジャマやトレーニングウェアなど動きやすい服装を選ぶと良いでしょう。
また、ストッキングや靴下なども体を圧迫してしまうため脱ぎましょう。寒いと感じた時は、毛布をかけるなどをすると良いです。
場所
どのような場所でも行うことができます。
自宅でも公園でも構いません。ただし、人通りが多いところや雑音(話し声や車の音など)が多いところで行うと集中がしづらい場合があります。その場合はなるべく静かで動くものが入り込まないような場所で行うと良いでしょう。
使用するもの
- 座禅座布団
自宅にない場合は、ストレッチボールや二つ折りにした座布団で代用することもできます。
- スマホ
タイマーとして使用します。そうすることにより時間を気にすることなく集中して座禅を行うことができます。
座り方
①座骨を座禅座布団に乗せます(もしくはストレッチボールや座布団)
②下記2種類のどちらかの座り方を行います。
- 結跏趺坐(けっかふざ)
両足を組む座り方。右の足を左ももにのせ、次に左の足を右ももにのせます。
- 半跏趺坐(はんかふざ)
片足を組む座り方。右の足を左ももの下に入れ、左の足を右ももにのせます(両方の足を乗せるのが困難な方はこちらをお勧めします)。
③前後左右に揺らして中心を整え、仏像のように手を汲みます。
④目は軽く開いて斜め45度を見ることを意識してください。
呼吸を整える(調息)
座り方が整うと、呼吸がいつもよりしやすくなっているのがわかると思います。
それが座禅する上で大事な下記3つのうち「調身」が整った証拠になります。
- 調身
- 調息
- 調心
の3つになります。
次に行うのが調息になります。
「調息」
人は緊張しているとき呼吸が浅くなります。そこでリラックスをするため「呼吸を3秒吸ったら、倍の時間をかけて吐く(例:3秒で吸って、6秒かけて吐く)」ことをイメージしながら呼吸をしていきましょう。
倍の時間をかけて吐く理由としては、脈拍です。呼吸をしながら自分の腕で脈拍を測ってみると、吸う時はやや速くなり、吐く時はやや遅くなるのがわかるかと思います。脈拍がゆっくりにさせることによってリラックスさせることができる証拠です。
意識を整える(調心)
調身、調息が整ったところで初めて行えるのが、この「調心」です。
心の整え方は大きく分けて3つあります。
- 座禅中に浮かんだ邪念をただ見送る
座禅中に邪念が頭の中に流れてくるのは当たり前のことです。無理やり「無心」になるのではなく、邪念に対して「そうなんだ」と見送ることが重要です。スルーしたらまた新たな邪念が流れてくると思いますが、それもただ見送るだけで大丈夫です。
- 数を数える
呼吸に合わせて数をかぞえます。息を吸いながら「1、2、3、4、5」というように吸いきるまで数え、吐くときも同じようにかぞえます。
- 呼吸に意識を向ける。
「吸って、吐いて、吸って」をくりかえし唱えたり、呼吸の音を聞いてみましょう。
この3つの方法のうち1つだけ座禅中に行うわけではありません。今は数を数えて、その後に呼吸に意識を向けてみよう、というように方法を変えながら座禅を行います。そうすることで意識を集中する長さが伸びて座禅が長くてソワソワしてしまうことはなくなるでしょう。
さて、ここまで座禅のやり方を紹介してきました。無になることは一見難しそうだと思いますが、完全に無になるわけではなく「雑念は流れてくるのが当たり前だから気にせず見送る」だけなので気軽に実践できそうな気がしてきますね。
次は瞑想のやり方をご紹介します。
瞑想の実践
時間帯
瞑想はどんな時間帯でも行うことができます。ただし食事の前後は集中がしづらくなってしまうため座禅と同様になるべく行わないようにしましょう。
服装
体が窮屈に感じないゆったりとした服装をお勧めします。パジャマやトレーニングウェアなど動きやすい服装を選ぶと良いでしょう。
またストッキングや靴下なども体を圧迫してしまうため脱ぎましょう。寒いと感じた時は、毛布をかけるなどをすると良いです。
場所
どのような場所でも行うことができます。
自宅でも公園でも構いません。ただし、人通りが多いところや雑音(話し声や車の音など)が多いところで行うと集中がしづらい場合があります。その場合はなるべく静かで動くものが入り込まないような場所で行うと良いでしょう。
使用するもの
- ヨガマットや座布団
床に座って行う場合はお尻が痛くならないようヨガマットや座布団をひきましょう。どうしても辛い場合は椅子の上でも構いません。
- スマホ
タイマーとして使用します。そうすることにより時間を気にすることなく集中して座禅を行うことができます。
座り方
自身が楽だと感じる姿勢で構いません。あぐらをかいたり正座したり、椅子に座って行っても大丈夫です。
呼吸を整える
この瞑想では意識を呼吸に向けることが重要になります。「吸って、吐いて、吸って」を繰り返すと徐々に呼吸が深くなっていくことが感じられると思います。それが呼吸が整った証拠になります。
意識を整える
瞑想中にももちろん雑念は流れてきます。座禅ではただ見送るだけでしたが、瞑想では「私はそう感じているんだ。」とありのままに受け入れましょう。逆に無理に雑念を消そうとしてしまうとさらに雑念が増えてしまい逆効果になってしまう可能性があります。自由にさせてあげて下さい。
【まとめ】座禅と瞑想の違いと効果
最後にまとめに入ります。
-
座禅とは?
瞑想はインドの仏教に対し、座禅は仏教の中でも大乗仏教の一派である禅宗で行われるもの。
禅宗は中国で生まれ、鎌倉時代に日本に伝わったもの。
瞑想では座り方に厳しい規則はありませんが、座禅では、
半跏趺坐(はんかふざ)、結跏趺坐(けっかふざ)のどちらかの座り方で行うよう厳しく決められている。
- 瞑想とは?
いまから約5,000年前の、紀元前3,000から2,500年のインダス文明の頃にブッダが、ブッダガヤの地で悟りを開いた時に行っていたのがこの瞑想。
仏教瞑想からストレス緩和法として編み出したのが「マインドフルネス瞑想」と呼ばれるものです。
- 瞑想の効果
ストレス軽減
疲れにくい身体になる
不眠の解消、睡眠の質の向上
集中力が上がる
- 座禅の効果
安らぎが得られる
集中力が上がる
ストレス軽減
- 瞑想と座禅、どちらも似たような効果がある。
- 座禅と瞑想の違いは「目的」
瞑想は、脳がほぐれ、疲れも不安もなく穏やかな気持ちになることが目的
それに対し座禅は何もない、言うなれば座禅を行うことが座禅の目的。目的がない、目的を設定してはならないのが座禅
本日は座禅と瞑想の違いについてご紹介してきました。実際に自分はどちらの方法が合うのかは実際にやってみないと分かりません。ぜひ日常の中で「今日は瞑想をやってみよう」、「今日は座禅をやってみよう」と試してみてはいかがでしょうか。自分にあった方法を見つけることで今まで経験したこともない心豊かな毎日を過ごせるようになりますよ。
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