寿の舞をご紹介|起源や歌詞、楽器、装束は?どこで見られる?
鈴の音色や巫女の緩やかだけれど力強い舞に思わず見入ってしまう神楽ですが、そんな神楽には様々な舞が存在します。
有名なところでは
などがあります。
普段日本文化にあまり興味がない人でも神社での祭礼の際に巫女さんが舞っているのを一度は見たことをあるのではないでしょうか。
しかし、中にはある時でしか見ることができない舞があります。その内の一つが今回ご紹介する「寿の舞」です。
- 「寿の舞」とはどのような舞なのか
- どこで見ることができるのか
についてご紹介します。
この記事を読み終えた頃には、謎に包まれた寿の舞が何を意味しているのかが分かります。また「細部まで込められた優しさ」に思わず誰かへ教えたくなることでしょう。
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「寿の舞」の始まり
この神楽「寿の舞」は新郎新婦の新しい門出を祝うために巫女が舞う、明治神宮オリジナルのものです。そのため中々間近で見ることができない舞になります。
寿の舞がいつ頃作曲作舞されたかは明記されていないため不明です。
しかし下記情報から、少なくとも大正9年以降に作られた神楽であると推測されます。
- 明治天皇の皇后様(昭憲皇太后)が「鏡」というお題でお詠みになられた御歌を元に作られた神楽舞である。
- 大正9年に創建された明治神宮オリジナルの神楽である。
- 明治時代以降に作られた近代神楽のカテゴリーに含まれている。(引用:Wikipedia)
「寿の舞」の歌詞は?
この御歌は明治天皇の皇后様(昭憲皇太后)がお読みになられた御歌である、以下の一文が歌詞になっています。
『朝ごとに むかふ鏡の くもりなく あらまほしきは 心なりけり』
- 朝ごとに → 毎朝
- むかふ → 向こう
- あらまほしき → そうあってほしい
「毎朝向かう鏡が綺麗であるように、心もそうであって欲しい」
という意味が込められています。
明治神宮にある独自のおみくじ『大御心』にも入っている御歌になっているので、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分の心が曇っていると、物事を正しく理解しようとせず疑ったり誤った解釈の仕方をしてしまうこともあります。それが誤解や間違いの元になって大きな亀裂が入ってしまうかもしれません。
まさに「明鏡止水(めいきょうしすい)」という言葉のように、邪念がなく静かに落ち着いて澄みきった心を持つことの大切さを説いている御歌なのです。
「寿の舞」の装束は?
略装束である
- 千早
- 緋袴
を着用して巫女は舞います。
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この千早には青摺(あおずり)と呼ばれる模様がついていて、
- 「松」
- 「鶴」
- 「菊」
3種類の柄があります。
鶴はお正月に良く聞く縁起の良いものとは知っていますが、なぜ松と菊も縁起が良いとされているのか。
これを機に解明していきましょう。
- 鶴
「鶴は千年亀は万年」という言葉があるように、鶴は長寿を意味します。
- 松
風雪に耐え、厳寒や酷暑にも耐えられる強い木であること、四季を通して葉の色が変わらないことから長寿延命を意味します。
しかし実は描かれている松によって意味が変わっていきます。
- 若松
若々しい生命力があふれるという意味 - 老松
長寿を意味する - 根付きの松(年神を迎える門松のルーツ)
この地に根付き、これから成長していくという意味します。
千早では、3つの種類のうちの「根付きの松」があしらわれています。
- 菊
「不老不死、延命長寿、無病息災、邪気払い 」という意味があります。
菊は奈良時代に中国から延寿の薬草として日本に伝わりました。9月9日(菊の節句)には宮中行事として菊酒を飲んだりして不老長寿と繁栄を願ったりしていたそうです。
また、花の形が太陽の形(日輪)に似ていることから、天照大神の信仰とも結びついて日の御子・天皇の象徴とされ、永遠の弥栄を祈る花でもあります。
このように、縁起の良い模様がついているのですね。
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「寿の舞」の舞具は?
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主に『神楽鈴』と呼ばれるものを使用します。
鈴が下から7個、5個、3個。合計15個つけられているのが特徴です。
全ての数が奇数であるから、「2で割れない=別れない」という意味があるため縁起が良いとされています。
この幸せが末長く続きますように、という意味を込めて明治神宮の結婚式では神楽鈴が使われます。
「寿の舞」の使用する楽器は?
和琴と神楽笛のみというシンプルな舞いです。
それにより鈴の音が際立たせるような演出となり、無意識に背筋をピンとのばしてしまう厳かな雰囲気を醸し出しています。
「寿の舞」はどこで見られる?
明治神宮オリジナルの神楽舞のため残念ながら結婚式でしか間近で見ることができません。
ただ、有り難いことにYouTubeにアップされています。こちらです。
【まとめ】寿の舞とは
最後にまとめに入ります。
寿の舞とは
- 明治神宮オリジナルの神楽舞
- 明治天皇の皇后様(昭憲皇太后)が「鏡」というお題でお詠みになられた御歌を元に作られた神楽舞である。
歌詞の意味は
- 歌詞は「毎朝向かう鏡が綺麗であるように、心もそうであって欲しい」という意味が込められている。
装束は
- 装束は略装束である「千早」と「緋袴」を着用する。
- 青摺(あおずり)と呼ばれる模様があり、「鶴」、「松」、「菊」の3種類のどれかがあしらわれている。
舞具は
- 鈴が下から7個、5個、3個。合計15個ついている「神楽鈴」を使用する。
- 鈴の数が全て奇数なのは「2で割れない=別れない」という意味が込められている。
楽器は
- 和琴と神楽笛のみの演奏である。
歌詞や巫女が着用する「千早」の柄、舞具にまで夫婦が健康で末長く続きますようにという幸せを願う思いが込められているんですね。細部の細部まで夫婦へのお心遣いが垣間見れる寿の舞は、意味を知らなければただ「綺麗な舞」で終わっていたかもしれません。
昔は明治神宮での結婚式に参加する方達しか見る機会はありませんでしたが、現在はYouTubeでも見ることができるようになりました。これを機に寿の舞を見てみてはいかがでしょうか。
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